手で触れて温かさを感じるガラス作品 小路口屋 小路口力恵さん

手で触れて温かさを感じるガラス作品 
小路口屋 小路口力恵さん

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なぜ富山のガラスは有名なのか

富山と言えば「富山のくすり売り」が有名である。300年以上の歴史をもつ富山の薬文化を支えるために富山市周辺では明治・大正時代にかけて薬を入れるガラス瓶の製造が盛んになり、そのシェアは全国トップを誇った。そのような時代背景が豊かな資源を生み、富山をガラスの街へと発展させてきた。ガラス作家を育成する研究所や制作を支援する工房など、恵まれた環境を有し、世界でも有数のガラスの街といわれている。そんなガラスの街富山市に小路口力恵さんの「小路口屋(しょうじぐちや)」という工房がある。小路口さんは「やさしく、やわらかく、ここちよい。」というコンセプトを持ち、肌にフィットして、身につけるようなガラス作品を生み出している。小路口さんはこれまでに富山をはじめとする日本各地のほか、国際的にも多くの賞を受賞しているガラス作家である。彼女の生み出すガラス作品の独特の優しい表情を見れば、誰もが作品のコンセプトに納得することは間違いない。


ガラス作家になるまでの道のり

小路口さんはガラス職人たちがガラスを吹いている姿やその作業工程を見るのが好きだったという。ちょうど高校時代に富山ガラス造形研究所ができた事もあり、ガラスへの憧れが加速した。しかし、その当時は富山ガラス造形研究所に受験できるほどの知識や技術が無かったこともあり、まずは美術系の学校への進学を考えて富山美術工芸専門学校に入学した。そして専門学校を卒業するころに高校生時代に抱いたガラスへの憧れが、ふと立ち寄った富山ガラス工房で再燃した。ガラスを作る作業風景を目にしたとたん「これをやりたい!」その時富山ガラス造形研究所の受験を決めたという。そこから1年間は猛勉強し、無事高校生時の憧れをかなえ富山ガラス造形研究所への入学切符を手にしたのだ。今振り返ってみると、専門学校時代のある授業で椅子を作る際「木材をヤスリがけする時の手触り」の感覚が忘れられなかったという。手で触れ、手で視ながら創造することを求めてガラスという素材を選んだのはこの経験が影響しているのかもしれない。


小路口さんのガラス作品の魅力

小路口さんのガラスの魅力といえば派手ではない優しい白色と独特の手触りである。最初は小路口さんも「ガラスは色付きのものしか売れない」という風潮から色付きの作品を作っていた。しかし、それでは形で遊び心が発揮できないことがわかった。そこで今のような色のない作品を作るようになると、個展などでの評価は思いのほか高くなっていった。そして何よりも彼女自身が作っていて心地よく、納得できる作品だったのだ。

また小路口さんが作品づくりで大事にしているのは五感の中の「視覚」「触覚」「聴覚」である。吹きガラスのみで仕上げるのではなく、削り、磨くといった加工を施しながら、小路口さんの持つ独特の感覚で仕上げられていくガラスは、その作品制作の要となる「手で視る。」を体現しているようだ。こうしてさらさらとした他のガラスでは感じることのできない手触りが実現している。

丁寧に作られたグラスの「はつり」は日本酒、ウィスキーなどお酒を入れると、味だけでなく、手触りでも美味しく感じることだろう。結婚祝いや還暦といった記念日のプレゼントにもその温かさは役立つこと間違いない。

このように小路口さんのガラス作品は私たちの生活に温かさを与えてくれている。今後も独特の手触りと優しい色合いで「やさしく、やわらかく、ここちよい。」空間を私たちに与えてくれるだろう。

ACCESS

“小路口屋”硝子工房
富山県富山市古沢237-3
TEL 076-436-3131
URL https://shojiguchi-ya.com/