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美濃地方で漉かれる和紙。
全国でも有名な美濃和紙。その始まりは正確にわかっていないが、奈良の正倉院に保存されている最古の戸籍が美濃和紙であることから、奈良時代にはすでに美濃で紙が生産されていたということになる。
美濃和紙はとても良質であったため、平安時代に入ると「宣命紙」などの朝廷の公用紙としても使われた。
鎌倉時代以降、一時期下火になったが、美濃国の守護であった土岐氏が力を入れて、産業として発展させ、全国に美濃紙として流通。
江戸時代には、とくに障子紙として重宝され、「みの」といえば障子のことを指すまでになった。
美術紙を生み出す。
そのかたわら、美濃和紙は、岐阜の伝統工芸もささえてきた。美濃和紙は柔らかみのある色で、光にすかすと縦と横に絡み合った繊維が美しく浮かび上がる。だから、岐阜提灯、岐阜和傘などの制作にはうってつけなのである。
工房をのぞかせてもらった市原達雄さんは、この道60年の大ベテラン。
伝統的な障子紙はもちろんのこと、多彩なパターンのレース模様の紙や、植物を漉きこんだ美術紙も制作する。
同時にそれらを使った小物なども作っており、単に「紙」という言葉からは想像できない美しさを創造している。