ガラスの展示室
北茨城市を一望できる茜平の上に建つガラス工房SILICA(シリカ)。その名前は、ガラスの原料となる珪砂の英語Silica Sandに由来する。また、ガラス工房と名前に冠しているが、展示室があり、世界中から集めたガラス作品を見ることができる。ジャンルも様々で吹きガラスやカットグラスから、冷えたガラスを組み合わせて再度熱して融合させることでさまざまな色を描き出すキルンワークなど、幅広い作品が展示されている。 当日は、SILICAスタッフと、イベント講師として招かれていたガラス工芸作家・江波冨士子さんに説明を受け、案内していただいた。(江波さんは神奈川の旅で訪問予定)
ガラスの重箱と出会う。
なかでも中田が目を見張ったのが藤田喬平氏作の「飾筥 紅白梅」という作品。一見すると重箱のような形だが、すべてがガラスでできている。内側に黒、外側に金銀の箔と、赤と白の梅の花を思わせるような色彩が施され、艶やかな世界が表現されているという作品だ。
江波さんに「ガラスなので当然、光が透けるんです。そのときの美しさもまた素晴らしいんです」と説明を受けた。するとSILICAスタッフの方が特別にガラス棚を開けて、中田に持たせてくれた。窓まで歩いて、さっと太陽にかざす。光に透かしてみると、紫がかった黒が浮かび上がってきて、何ともいえない神々しさを放つようだった。
ガラスを体験する。
最後にガラスの制作風景を見学させていただいた。制作には江波さんも加わる。当日は作家みなが女性。他県でガラス工場を見学させていただいたときも、女性の職人が多いことに驚いたが、ここでもまた女性。そのみんなが炉からガラスを出すときには、「出します」、「はい、いいですよ」と大きな声を掛け合って共同作業をする。この作業は一般の人でも見学ができる。やはり生の制作現場を目にするということはなかなか難しいと思うのだが、一度目にすると、その”熱気”に圧倒されるかもしれない。
また、SILICAでは予約をすれば、様々なガラス作りを体験することもできる。ガラスのことを知り、作品を見て、ガラスを作って、そのすべてを体験できる工房なのだ。