鹿児島から世界へお茶を届ける「池田製茶」池田研太さん/鹿児島市南栄

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静岡に並ぶお茶の産地「鹿児島」

いまや静岡とならび日本茶の一大生産地と言われる鹿児島県。県内で生産される茶の卸売市場である鹿児島茶市場は、鹿児島市街地からほど近い海沿いの埋立地にあり、周辺には茶業団地と呼ばれる関連業者が軒を連ねる。そんな鹿児島県鹿児島市に70年以上続く池田製茶はある。

「茶の全国の生産量のうち静岡と鹿児島で約75%を占めています。有名な知覧茶(ちらんちゃ)産出する南九州市は市町村単位で日本一の生産量を誇ります。おそらく温暖な気候条件がお茶には良いのでしょう。鹿児島茶の特徴としては、旨味のある品種や、水色が美しい品種など、多種多様な茶がとれることです」と池田製茶の池田研太さんは語ってくれた。

お茶には多くの品種があり、その数は農林水産省に品種登録されていないマイナーものもあわせると100種類以上。現在、鹿児島県では約30種類の品種が栽培されており、池田製茶では品種の特徴をとらえて吟味し県内生産の茶を仕入れているという。

「鹿児島の茶は、戦後から本格的に栽培されるようになりました。そして昭和47年、茶市場とこの茶業団地ができた頃からさらに発展し、横の繋がりもできはじめました。機械化が進み生産量も伸びています。3代目にあたる自分たちとしては、これから“かごしま茶”のブランド力を高めることに面白みを感じていて、日々努力を続けています」(池田さん)

丁寧にお茶を作り上げる茶師十段

仕入れた荒茶を、葉、茎、そして粉に分別し、火入れ(=焙煎)を行い、ブレンドをして安定した美味しさのお茶として消費者に届ける。池田さんは、歴代で15名しか取得したことがない、全国茶審査技術競技大会での茶審査鑑定技術における最高位の「十段位」を取得している。この焙煎とブレンドによって美味しいお茶が生み出されている。

「アミノ酸、カテキン、カフェインの引き立たせ方は焙煎で変わり、味や喉越し、口当たり、水色の出かたに直結します」(池田さん)

中田も池田さんが淹れた鹿児島茶をあじわい、

「口のなかで旨みが広がって、でも喉ごしはすっきり。そして香りがスーッと抜けていく。上品さを感じますね。特に、喉から先がつっかえないのがいい」とおいしさに驚いた。

美味しいお茶には5つのポイントがあると言われる。

飲み口で感じる甘い香り、口の中に広がる香り、喉ごしのよさ、口の中のすっきりとした感覚、そして、飲み込んだあと鼻に抜ける甘い香り。池田さんのお茶はそのバランスがとてもよくブレンドされている。

日本の高品質なお茶を世界に届ける

池田製茶では、「美味しさを極める茶」だけでなく、輸出実績が増加している抹茶の製造にも取り組んでいる。抹茶は英語で「Matcha」と呼ばれるほど人気が高いが、世界に通用し安心安全で高品質な抹茶を提供するために並々ならぬ努力が必要とされている。池田製茶ではクリーンな環境の中で茶葉を仕上げ、粉砕加工するための抹茶専用工場を2020年に新設した。石臼を使って丁寧に加工することで、海外に届けても申し分ない高品質な抹茶の提供を可能にした。また、お茶の活用法や可能性を広げるための研究にも積極的で、カテキンの抗菌作用を活かしたうがい専用の「お茶うがい」や緑茶入りの除菌用マスクスプレーを開発した。

茶は畑だけで作られるわけではない。連綿と培った知恵と情熱のある人がいて、初めておいしいお茶になる。

池田さんはその両方を兼ね備えた人だ。今後もさらに池田さんが日本のお茶の可能性を世界へ拡大させてくれることだろう。

ACCESS

池田製茶株式会社
鹿児島市南栄3丁目11番 茶業団地内
TEL 099-268-6266
URL https://ikedaseicha.com/
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