門外不出の山葵 「山葵生産者 浅田正孝」/静岡県伊豆市

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静岡県でしか生産が許されていなかった

寿司、刺身、そば等々、日本料理に欠かせない山葵は、日本人にとって、大切な味のひとつ。学名も「Wasabia japonica」といい、正真正銘、日本を原産地とする植物だ。

奈良時代の文献にもその名が見られ、当時は薬用として使われていたらしい。けれど栽培化されたのは意外と遅く、江戸時代に入ってから。その栽培を一手に担っていたのが静岡なのである。

じつは、山葵は長い間、静岡以外での栽培が禁じられてきた。その理由は、徳川家康が静岡市葵区の有東木(うとぎ)から献上された山葵の風味を気に入り、有東木の山葵を門外不出の御法度品としたから。

つまり、山葵は有東木だけでしか栽培できなかったのだが、それから100年ほど経ったころ、静岡は伊豆の天城湯ヶ島でも栽培が許可され、全国屈指の山葵産地となった。こんな経緯から、山葵は静岡の誇る特産物になったわけである。

天城湯ヶ島の水が作り出す浅田さんの山葵

この日お話を伺ったのは、天城湯ヶ島に80年前に作られた山葵田を守り続け、山葵を生産している浅田正孝さん。
浅田さんの山葵田では、山奥から引いてきた湧き水を流し込み、年間を通してきれいで水温の安定した状態のもと山葵を育てているという。この土地での山葵の生産方法や、山葵の見分け方についてもお話を伺った。

もともと門外不出の静岡の山葵。生産者である浅田さんのオススメする食べ方はないのだろうか?
「こちらで特別な食べ方ってありますか?」と聞いてみる。

「特別ってわけでもないんですけど……。」と浅田さんが出してくださったのは、「山葵味噌」。
わさびをフードプロセッサにかけて味噌と混ぜあわせたシンプルなものだ。「味噌の甘みとわさびの辛みが絶妙!」なんと、中田も大絶賛の逸品だった。
天城湯ヶ島のきれいな水が作り出す山葵。またひとつ、日本伝統の美味しさに出会った。

ACCESS

浅田正孝
静岡県伊豆市
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