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裏千家は最大の流派
鈴木大拙館にて、中田を裏千家の奈良宗久さん(今日庵 業躰 教授方)がお茶会に招いてくれた。裏千家は茶道流派の一つで茶道諸流派中最大の流派。奈良さんは、裏千家の指導者として、京都と金沢、さらに地方の支部を回りながら、日々、指導にあたり、また自身の研鑽に努めている。この夜の茶会では、中田のために、お茶の道具は地元の石川県の作家のものを集めていただいた。抹茶を入れてある茶器、美しい棗(なつめ)は彦十蒔絵の漆芸家、若宮隆志さんのものだ。
心静かに、お茶と器を楽しむ
閑静な空間の中でお茶をたてる音だけが聴こえる。中田が奈良さんに「最近は作陶(陶磁器を製作すること)していますか」と尋ねると、「作り手さんの気持ちを知りたいので、作りたいと思っている」と奈良さん。この夜は、先日の個展で発表したばかりという十代 大樋長左衛門の抹茶碗でお茶をたててくれた。色の違う釉薬を掛け分ける、掛け分けという技法が用いられており、斬新なデザインが目を引く。