吟醸酒の市販の先駆者である「大洋酒造」
「新潟を代表する酒蔵の一つ「大洋酒造」は、戦後、米不足の影響などで酒蔵が減る中、地元にあった14の酒蔵が合併してできた蔵元。年表によれば、1945年下越銘醸株式会社、酒名「越の魂」として発足し、5年後に大洋酒造株式会社「大洋盛」に改名した。前身の蔵元には、「好色一代女」(1686年)よりも古い1635(寛永12)創業の酒蔵もあり、それぞれには営々としてつづけてきた誇り高い歴史と伝統があった。
「大洋酒造」は、1972年、全国に先駆けて吟醸酒を市販したことで有名だ。「大吟醸大洋盛」第一号を市販して以来、愛飲者名簿は通し番号で保存され社宝になっているという。
大洋酒造の酒は全国で認められる美味しさ
特別本醸造「越乃松露」は吟醸酒用の酵母である新潟吟醸9号と厳選した原料を使用。銘柄は当社の前身にあたる蔵元の酒名の一つ「松の露」に由来し、「大洋酒造」で製造しているお酒の中も最も辛口のお酒だ。切れ味が良く引き締まった辛口の味わいが特徴。
大吟醸「大洋盛」は、新潟県開発酒造好適米「越淡麗」を極限の40%まで精米し100%使用している。フルーティーな味わいの中にキレがあり、味がダレていない。
ひたすら美味しい酒造りに徹してきた「大洋酒造」は、これまでに鑑評会で数々の賞を受賞。1953年に第1回関東信越国税局酒類鑑評会で初入賞。その後も、全国清酒品評会入賞、国税庁醸造試験所 全国酒類鑑評会で入賞(金賞受賞)、関東信越国税局酒類鑑評会においては三度の新潟県総代(第一位)を受賞している。
新潟の豊かな恵みを活かす大洋酒造
「大洋酒造」では5、6年前からお米は全て新潟産を使い、杜氏自ら栽培した、いい酒造りが出来ると開発された「山田錦」と「五百万石」をかけ合わせた「越淡麗」を使って大吟醸を作るようになり、それ以来、原料はすべて新潟産にこだわっている。
仕込み水は、磐梯朝日国立公園にある朝日連峰の雪解け水を水源とする地下水を使用。一説には数百年経って自然ろ過されていると言われ、そのためか柔らかい”超軟水”に部類される水で、この水で作られた日本酒は新潟のお酒にしては味が少しまろやかなのが特徴だ。
新潟県内には越後山脈や信濃川などがあり、多くの自然に恵まれている。「大洋酒造」は吟醸酒市販の草分け的酒蔵として、新潟の自然の恵みを活かして、これまでもこれからも味わい深い澄んだ日本酒を作り続けるだろう。