作家・小山薫堂がこよなく愛する地元天草の名店「海月」
天草市河浦町崎津。ここにこじんまりと佇む一軒の寿司屋がある。古民家を改装して作られた昭和風の店内で地元崎津の新鮮な魚介を堪能できる「海月」。
定番メニューは「蛸いなり」。地元で取れたタコ、ごぼう、人参、しいたけなどたくさんの具が入った五目風いなり寿司で、なんとも懐かしい素朴な味を醸し出す。そして、この蛸いなりの上に鰻のたれとおかか、青のり、マヨネーズをかけた逸品「たこ焼き風いなり寿司」は大阪で修業を積んだ店長の宮下さんのオリジナル料理でこの店一番の名物。これまでに数多くのメディアでも取り上げられた。湯気はたっていないものの、見た目はまさにたこ焼きだ。
隠れキリシタンの町、天草
天草と言えば、隠れキリシタンのイメージが強い。熊本県の南西部に位置する天草は16世紀半ばにキリスト教が伝来し、その後禁教令が実施されたことから天草には隠れキリシタン進行の名残が散在している。今でも仏壇の横にある扉をひっくり返すと十字架が飾られていたりする家もあるそうだ。
天草に美しく佇む、崎津天主堂と海上マリア像
崎津漁港の出入り口、崎津天主堂に近い岬に見えるのは崎津海上マリア像だ。昭和40年代に地元のクリスチャンの漁師が自分たちのために作ったもので、以来、漁船の運航の安全と豊漁を静かに見守っている。漁師が漁に出る前にマリア像に向かってお祈りし、また戻って来てお祈りする。
このマリア像は観光のために建てられたものではないため、熊本の中でもさほど有名なものではない。しかし、キリスト教にまつわる歴史が多く残り、隠れキリシタンの苦悩などが根強く残る天草の町と、海に突き出た断崖絶壁に美しく佇む白亜のマリア像は一見の価値がある。