日本が世界に誇れる森のくまさん
「森のくまさん」とは熊本で誕生したお米の品種。名前の由来は、文豪・夏目漱石が熊本在住時代に、緑豊かな熊本のことを“森の都熊本”と表現しており、その「森の都(=もりの)」「熊本(=くま)」で「生産(=さん)」されたという意味を込めて付けられたそうだ。
緑豊かな土地、美しい青空、澄みきった清流…熊本の大自然の恵みの中で育まれるこのお米は日本穀物検定協会が発表する2012年度の「米の食味ランキング」では1位となり、日本で一番美味しいお米に選ばれた。今、日本が世界に誇れる食材の一つだ。
森のくまさんを繋いでいく
熊本県山鹿市で「森のくまさん」を生産する農家小川さんを訪ねる。現在、この品種を生産しているのは熊本で1,400人。人気の品種なので毎年少しずつ伸ばしていきたいが、農家も高齢化が進み逆に生産者は減っているという。
「私たちは、今は一生懸命米作りをしていますけど、あと何年できるかは分からない。その後の世代のために、どうにかしてシステムなのか仕組み作りもして行かなくてはならないと思いつつ、なかなか難しいですね」と奥様が語ってくれた。
お米の良さを知りつくす者だからできること
噛みしめる度にお米の甘みを感じる「森のくまさん」。コシヒカリに比べるともっちりとした食感で、粘り気があるのが特徴だ。母はヒノヒカリ、父はコシヒカリで作られた「森のくまさん」はそれぞれの良さを最大限に引き出された美味しさがある。
ご主人は「以前は、量をたくさん作って売るという感じだったが、最近では『どぅいうお米が美味しいお米か』を勉強しながら生産に取り組んでいます。お米の美味しい食べ方など生産者ももっともっと勉強していかなければいけないですね」と話す。
美味しいものを美味しい形で届ける。お米の良さを知りつくす者だからこそ、そのための努力は決して惜しまない。