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美術館と劇場一体のグラントワ
全国でも珍しい、美術館と劇場が一体になった島根県芸術文化センター、愛称は「グラントワ」。フランス語で「グラン(grand)=大きい」+「トワ(Toi)=屋根」がその由来だ。
島根県が誇る石州瓦をもちいた、シンプルでいさぎよい切妻屋根が印象的。
石州瓦は、石見地方に古くから伝わる光沢のある瓦で、三州瓦、淡路瓦と並ぶ日本三大瓦のひとつ。独特の赤い色が美しく、島根では赤い屋根の街並みをいたるところで見ることができる。
しかし、グラントワで目を見張るのは、屋根だけでなく建物の壁全体にも石州瓦が張り巡らされていること。晴れた日には瓦が太陽を反射して、建物全体が光輝いているかのようだ。
建物に目を奪われるグラントワ
県立石見美術館と県立いわみ芸術劇場によって構成されるグラントワの使命は、石見地方で育まれてきた文化、芸術を大切にし、地域とともに新たな創造を目指すこと。まさに、古きを訪ねて、新しきを知る、だ。
しかし、グラントワではその逆の体験もできる。まず、瓦で覆われた斬新な建物に、目と心を奪われる。それから、その瓦が石見国分寺にも使われたという、伝統的な瓦であることを知る。新しきから古きを知る――そんな体験だ。