琥珀の魅力に触れる「久慈琥珀博物館」/岩手県久慈市

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岩手県は日本で最も有名な琥珀の産出地

“久慈琥珀”といえば、一度は耳にしたことがある人も多いのではないだろうか?岩手県沿岸北部に位置する久慈市には日本最大の「琥珀」の産出地がある。今回は琥珀の採掘や研究、展示を行う「久慈琥珀博物館」に伺った。
琥珀とは、およそ数千万年~数億年前、恐竜が生きた時代に存在した樹木の樹脂が地層の中で固まり石化した一種の化石だ。通常、植物は土に埋まるとバクテリアが分解し時間をかけて炭化して土に還ることから、植物性の化石は大変珍しい。世界各地でも琥珀が発見されているが、この久慈地方でも多くの琥珀が発掘され依然として埋蔵量も多いと考えられている。
また、琥珀には昆虫が閉じ込められていることがあり、近年ではこの昆虫の化石からDNAを取り出す研究が進むなど、生物学の分野においても貴重な資料とされているのだ。

琥珀の色は何色?

博物館本館1階は、「太古からのメッセージ」題された展示室。地球の歴史の中で琥珀がどのようにしてできるのかを知ることができる内容と共に、原石や虫入りの物など様々な琥珀が展示されている。
さてここで質問。琥珀は何色でしょう?
実は、琥珀には数百を越す色がある。それは元の樹木の種類によって琥珀の色が変わるから。日本では琥珀色といえば黄褐色に近い暖色を指すが、実際には透明、不透明の茶色や赤、緑、黒、白の琥珀も発掘されている。
博物館本館2階は「人と琥珀」の展示室。人がいつから琥珀を利用してきたのかという考古学や文化的側面をたどる。世界中では1万年以上前の遺跡から琥珀製品が出土しており、日本では縄文時代より遥か昔、2万年前(先土器時代)の遺跡から琥珀で作られた勾玉が発見されている。
また、古墳時代のものとされる奈良県の遺跡で発掘された勾玉は久慈地方の琥珀だという研究もある。この久慈地方で琥珀の採掘が産業化したのは室町時代と言われており、南部藩の特産品として管理されたのは江戸時代のことだが、実際には古くから琥珀が貴重品として珍重され人々の間で流通していたのだ。

まだまだ新しい発見がある

博物館の敷地内では、かつて琥珀の採掘に使用されていた坑道を見学することができるほか、実際に白亜紀の地層を掘る体験を行うことができる。博物館の学芸員さんと共に中田も発掘作業に挑戦。短い時間ではあったが、小さな琥珀の欠片を掘り出した。
この採掘場からは2012年に大発見があった。発掘体験に参加した少年が見つけたのは小さな骨化石。研究機関で詳しく調べた結果、小型の肉食恐竜の足の骨だということがわかったのだ。東北地方では肉食恐竜の化石が出土したのは初めてのことで今後の出土や研究も注目されている。
古来より、琥珀は貴重品として宝石と同じように取り扱われてきた。久慈琥珀博物館ではその魅力に触れ、太古の歴史に想いを馳せることができる。そしてこれからも歴史を塗り替えるような大発見があるかもしれない。

ACCESS

久慈琥珀博物館
岩手県久慈市小久慈町19-156-133
URL http://www.kuji.co.jp
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