美しい味噌はおいしい仙台味噌「今野醸造」/宮城県加美町

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そのままでも食べられる味噌

伊達政宗が仙台城下に設置したという醸造所で作らせたことから始まった製法で作られた味噌が仙台味噌。辛口の赤味噌で風味が高いのが特徴だ。さらにはそのまま食べることもできることから、なめみそとも呼ばれている。

歴史ある仙台味噌の醸造所

今回はその仙台味噌を作っている (有)今野醸造におじゃました。創業からは100年以上の歴史を持つが、もとは醤油を主に作る会社だった。 「味噌はずっと、それぞれの家で作るものだったから」 とその理由を教えてくれたのは、案内をしてくれた代表の今野昭夫さん。味噌を作るようになったのは、今野さんの代になってからだという。

仙台味噌ができるまで

仙台味噌は米麹と大豆からできるもの。 (有)今野醸造が味噌作りを始めた当初は、国産でもあまりいいできではない大豆があった。それならばと、地元の方々に頭を下げて畑を作り、大豆作りから教わり、味噌の醸造を始めたそうだ。
工場長の後藤さんに案内してもらって、味噌蔵を見学した。大きな仕込み樽に上り、丁寧にシートを外し、ひと掴みの味噌を中田の前に差し出した。
「ちょっと舐めてみてください。それから匂いも」
それは仕込んだばかりの味噌。味はまだ青いというか、若い。香りも豆のものが強く残っていた。
「そこから長いあいだをかけて熟成されて、深みやうまみが引き出されていくんです」 と後藤さんは言う。 (有)今野醸造で評判の味噌 「あなたのために」 という商品は、なかでも通常の2~3倍の時間をかけて熟成させるという。
味噌は見た目が美しいものは味もいいんです。反対もそう。だから見てすぐにこれはいい味噌だなってだいたいわかるんです」。後藤さんがシートをもとに戻しながら教えてくれた。見た目と味が比例する、そして、熟成の具合も判断にもなるという。

醤油を試飲

場所を移して味噌を試食させていただく。出汁をいれたお湯にとかしてすと仙台味噌の奥深さが感じられる。仙台味噌には、かつおだしが一番合うそうだ。
味噌の試食に引き続いて、今回はなかなか面白い体験をさせてもらった。それが醤油の試飲だ。
いくつかの醤油をならべて飲み比べてみる。面白いのが、中田のほか、試飲したスタッフがそれぞれおいしいと思った醤油が違ったこと。後藤さんによれば、甘口、辛口、全国いろいろな味があるが、東北内でもいろいろな味があるという。例えば秋田あたりは甘口が主流。海沿いにいけばいくほど甘口が主流になるそうだ。醤油でも土地土地で好きな味覚が違ってくるのだ。

食材によって醤油を使い分ける

それから中田は 「ただ飲んだものと、刺身をつけて食べたときでは、いいと思う醤油が違いますね。僕たちは醤油を単体で食することはほとんどない。何か食べ物があって、食材に醤油をつけるものですからね」 といった。
「たしかに、普通は醤油はつけて、かけて食べるもの。それは忘れないようにしたいですね。それに、いろいろな醤油があっていいと思うんです」
その言葉どおり、 (有)今野醸造ではシチュエーションに合わせて約15種類もの醤油を作っているという。なかには寿司専用の醤油もあるそうだ。刺身醤油というのはよく見るけれども、寿司醤油というのはなかなか聞かない。
醤油によって食材の味は変わる。味の好みも人それぞれだろう。どんな醤油が自分の味覚に合うのかを試してみると、ますます食の世界が広がるかもしれない。

ACCESS

農業生産法人有限会社今野醸造
宮城県加美郡加美町下新田字小原5
URL http://www.e-miso.com/
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