目次
勇壮な武将たち「七本槍」
「冨田酒造」のある木之本町は、かつて宿場町として栄えたところ。いまでも古い建物が残り、優美な町並みを見せている。その一角、創業450年以上という冨田酒造の酒蔵も、江戸時代に建てられた風情のある建物だ。
蔵を訪れ、まず目に入るのが、額縁にかけられた「七本槍」という力強い文字。聞くと、これは北大路魯山人がここに投宿した際に書いたものだという。その文字をそのままラベルに使用したのが、銘酒「七本槍」だ。
七本槍といえば、片桐且元や福島正則をはじめとする、豊臣秀吉の子飼いの武将たち。幼少のころから秀吉に仕え、柴田勝家との「賤ヶ岳の戦い」で一躍名前を挙げた。滋賀の土地が生んだヒーローである。
地元の江州米で作る銘酒
一方、冨田酒造の「七本槍」は、天文年間(16世紀半ば)からの看板ブランド。滋賀のヒーローの名前が冠されているだけに、地元の江州米を使って作られている。
ところで、冨田さんは東京の醸造研究所で修行をしたのちに、世界を旅して各国の蒸留所などを見てまわったという。
そのときに、ワイナリーの前に広がるブドウ畑に感銘を受けた。目の前の畑で獲れたブドウでワインを作る――その環境に憧れたのだ。それが、地元の米へのこだわりを一層強めることになったそう。
銘酒「七本槍」の背景には、こんな思いがあるのである。
うまい日本酒の秘密は手間を惜しまないこと「池本酒造」/滋賀県高島市 – NIHONMONO
池本酒造は日本で唯一といわれる「低温超長期もろみ」の技術を有する蔵。もろみの発酵日数を長くすると、酒にコクが出る。しかし、普通、もろみは発酵日数が長くなると、溶…
土が変われば酒の味も変わる 土地の個性を日本酒で表現する「松瀬酒造」の挑戦/滋賀県竜王町 – NIHONMONO
日本酒の主な原料は、米と水。その土地の気候や土に含まれる成分の違いが米の味、ひいては酒の味に表れることは想像に