日本仏教の母山にして世界遺産「比叡山延暦寺」/滋賀県大津市

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名だたる名僧が修行した比叡山延暦寺

1994年にユネスコ世界遺産にも登録された延暦寺。西には古都京都の町並みを、東には日本一の琵琶湖を一望する比叡山山上にあり、8世紀後半に、天台宗を開いた最澄が建立した寺だ。開創以来1200年間、鎮護国家の道場として、国家の安泰を祈願する修行の山であり、過去にはそうそうたる顔ぶれの名僧がここで修行をしている。浄土宗を開いた法然。浄土真宗の親鸞。日蓮宗の日蓮。延暦寺が「日本仏教の母山」といわれる由縁である。

比叡山延暦寺の波乱万丈な歴史

しかし、その歴史は波乱万丈でもある。たとえば、平安時代末期。京都や奈良の大寺院の雑役への不満から、寺社が武装化するようになり、延暦寺も同じく武装して対抗することに。その威力は絶大で、当時の権力者、白河法皇も、「賀茂河の水、双六の賽、山法師、是ぞわが心にかなわぬもの」と話したという。

乱世を乗り越えて

その後、足利幕府の時代には、延暦寺の制圧をもくろむ幕府との確執が勃発。策謀をもって有力僧を誘い出し斬首してしまった幕府に、僧たちが反発、立てこもったのちに、お堂に火をつけた。
戦国時代には、織田信長によって焼き討ちの憂き目にもあっている。信長はこのとき比叡山全山を焼いたともいわれ、その難を逃れたのは現在も残る瑠璃堂のみだという。僧房が再建されたのは、秀吉、家康のころになってからだ。
現代では、1987年に開創1200年を記念して世界の宗教指導者が比叡山に集い、世界平和実現のために対話と祈りを行う「比叡山宗教者サミット」が開催された。それ以来、毎年8月には比叡山で「世界宗教者平和の祈り」が行なわれている。歴史をつくり、歴史に翻弄された延暦寺には、いまでも人々が集い、平和へ祈りを結集させている。

ACCESS

比叡山延暦寺
滋賀県大津市坂本本町4220
URL http://www.hieizan.or.jp/
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