NIHONMONO「にほん」の「ほんもの」を巡る旅マガジン

“屋根のない茶室”で至福のティータイム

“屋根のない茶室”で至福のティータイム

佐賀県嬉野市の名物は、嬉野茶。この地域には室町時代、中国から茶栽培の技術が伝えられ始まったと言われている。ちょうど収穫が始まる5月初旬、嬉野を訪ねると、多くの製茶工場から蒸気の湯気が立ち上り、街中に香ばしい茶の香りが漂っていた。通常、茶は茶葉を育てる農家と商品化して販売する卸問屋が異なる。だが、副島園では栽培から販売までをすべて自社で行っている。

“屋根のない茶室”で至福のティータイム

「嬉野は、釜炒り茶をルーツに持つ蒸製玉緑茶で知られています。ぐり茶とも呼ばれている、玉のようなお茶です」
四代目の副島仁さんは、嬉野茶の未来を考え、無農薬・減農薬にこだわった栽培を続けてきた。パッケージのデザインから営業まで自ら手がけ、全国に販路を広げてきた。
「うちでは父の代から無農薬・減農薬の栽培をするために、あえて面積を減らして、安心、安全なお茶を直接お客様に届けるために販売も直販だけにしました。有名旅館などでも使っていただけるようになり、ファンの数も増えてきています」

収穫が始まったばかりの茶畑を歩く。高台の斜面の副島園の畑からは、嬉野の街を一望できる。ちょうどこの日は八十八夜。この日に摘まれた茶を飲むと、健康に過ごせると言われている。畑では副島さんの家族が総出で茶葉の手摘みを行っていた。
「ここでは緑茶の他、紅茶にも挑戦しています。いろいろなことに挑戦して茶の文化を守りたいんです」
そう語る副島さんに案内されたのは、一番高台にある茶畑の真ん中に造られた“屋根のない茶室”。青空の下、爽やかな風に吹かれながら新茶を楽しむ。まずふるまわれたのは、小さな器に入れられた温めの茶。旨みと甘みが濃厚で雑味は一切ない。2杯目は、一晩かけて水出しした冷茶。シャンパン用のフルートに入れられたこちらは、爽やかな甘味が特長。味わいは奥深く、色も鮮やか。コンビニで販売されているペットボトルのお茶とはまるで別物だ。

「お茶は品種や製法、淹れ方によって繊細に味が変わる飲み物。でも日本酒と同じかそれ以上に身近なのに、みんなよく知らない。僕もこれから勉強していって、日本茶のことをもっと知りたいと思います」
“屋根のない茶室”で過ごした最高のティータイム。中田も日本茶の“実力”を改めて感じることになった。

こちらでもご紹介しています。

ACCESS

副島園
843-0302 佐賀県嬉野市嬉野町下野甲427
URL http://soejimaen.jp/