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にほんものストア米の専門家秋沢毬衣さんコラムがスタート!   第1回コラムはお米の品種による「食感」の違いを解説

〜 第1回 〜

お米の品種による「食感」の違い

もちもち、あっさり、しっかり歯ごたえ、柔らかめ

はじめまして。株式会社山田屋本店 米屋の娘6代目の秋沢毬衣と申します。この度、にほんものストアでお米についての連載をさせていただくことになりました。

わたしたちの主食であり、ソウルフードとも言える“お米”。日本には、約800種類ものお米の品種があるとされています。その一つひとつにさまざまな個性や物語があり、手塩にかけて育てる生産者の方々がいます。そんなお米の奥深さや魅力をお伝えしながら、この連載を通して、「わたしのお米」に出会うコツをご紹介していきます。

「さぁ!今日のご飯は、何のお米だ?」

これが、我が家の朝ごはんの時間の会話です。

我が家の食卓では、「今日のご飯は何でしょうクイズ」が日々開催されています。それを「利き米」といいますが、皆さんが何気なく食べているお米は、香り・粘り・硬さ・色味・甘みなど、どれをとっても同じものはありません。それは品種や生産者の栽培方法によっても異なり、そして炊き方やその道具によっても大きく印象が異なります。

そこで、今回は、品種による「食感」の違いについてのお話をいたします。

品種による「食感」の違い

品種の特長として大きく分けて、図のチャートの様に「食感」の構成は4象限に分かれます。縦軸は、噛むごとに感じるお米の粘り「もっちり⇔あっさり」を表します。横軸は、一口目のお米の食感の印象「歯ごたえしっかり⇔歯ごたえ柔らか」を表します。普段、食べているお米はどの位置にありますか?(もちろん、一概にこの品種がこの位置とは言えませんが、ここで表したものは、平均的な食感をチャート化したものです。)
さて、お米の食感を紐解いて見ていきましょう。

お米の粘りと柔らかさを決めるでんぷん「アミロペクチン」と「アミロース」

お米のでんぷんは、ブドウ糖からできていて、アミロースとアミロペクチンの2成分から構成されています。
お餅やお赤飯、おこわなどに使われる「もち米」は、アミロペクチン100%で構成されていて、わたしたちが食べている通常のお米=うるち米は、アミロペクチンに加えて、アミロースが17~23%含まれています。つまり、アミロースが低いほど軟らかく粘りがあるお米。「低アミロース米」といいます。反対にアミロースが高いお米は硬く粘りが少ないお米になります。「高アミロース米」といい、炒飯やピラフなどに使われています。

近年のお米のトレンドとしては、食感を注目して評価されることが多く、ひとえに、平成の新品種戦国時代によって、一躍話題となった背景があります。それは、長年王者に君臨していた、コシヒカリに変わるお米として、平成20年頃(2008年)から各県の試験場より、新品種が次々と発表されたことは、記憶に新しいことと思います。特に平成20年度にデビューした山形県産つや姫や、平成23年(2011年)にデビューした北海道産ゆめぴりかを中心に、「もちもち」や「もっちり」「ねっとりとした」といったお米のオノマトペを取り入れ、お米の販促を行いました。従って、一時は、低アミロース米を中心とした、もちもちとしたお米が注目されていました。
低アミロース米は、冷めてからももちもちとした食感が持続し、お弁当やおむすびに適しています。また、もち米を使わずしても、かやくご飯として、もっちりとした炊き込みご飯を作ることができます。お米の食感の特長を生かし、調理に適したお米を見つけることも、お米選びの楽しみの一つです。

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