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「油煙墨」という技術
奈良は墨の街としても有名だ。600年ごろに高句麗から伝わってきた墨は、平安時代を通して盛んに精製、使用されていた。しかし、それを一変させたのが奈良の墨なのだ。
伝わってきた当初の墨は「松煙墨(しょうえんぼく)」といわれ、松を燃やして煤を採って作られていた。それに対し、奈良の墨は、菜種やゴマなどの植物油を燃やして煤を採る「油煙墨(ゆえんぼく)」だ。室町時代に興福寺で発明された製法である。
松煙墨とくらべると、黒の色、ツヤ、すり心地など、品質的が格段にアップする。それ以降、この油煙墨が全国的に重宝され、使用されるようになった。
伝統の製法を受け継ぐ見学する
そんな油煙墨の伝統を今でも受け継ぎ、良質な墨を生産しているのが、創業1577年という歴史をもつ「古梅園」だ。中田が訪れたときには、土器に入れた植物性油に火をともして煤を採る「採煙」という作業を見せてもらった。薄暗い部屋に数多く並べられた器に小さな火がともっている光景は、どこか悠久のときを感じさせる。
400年以上ものときを経てもなお灯り続ける墨造りの火。きっと、これからも絶えることなく燃え続けるのだろう。
300年続く奈良ブランド、改革の雄「中川政七商店」/奈良県奈良市 – NIHONMONO
これまでの「中川政七商店」の歩み 「中川政七商店(なかがわまさしちしょうてん)」「遊 中川」といえば、奈良の本
繊細な技術が宿る竹で茶を点てる「茶筅師」谷村丹後さん/奈良県生駒市 – NIHONMONO
茶筅の里で受け継がれる伝統 竹の穂先が茶碗に軽く触れる。茶席で聴こえてくる湯を混ぜる音。茶の席で目が行きがちな