小笠原父島の宿
平成4年、東京港からフェリーで片道28時間半。初めて小笠原諸島に足を踏み入れたときの印象を、「くつろぎの宿 てつ家」のオーナーである中村哲也さんはこう話す。「それまで旅行した沖縄、ハワイ、フィリピン等で見たどこの海よりも、小笠原の海の碧さは美しく、荘厳で神々しささえ感じるほどでした。」
大きな衝撃を受け、小笠原の環境に強烈に惹かれた中村さんは小笠原への移住を決意。数年間、父島の料理店で働きながら多くの観光客とふれあう生活を送った。
そんななか、ある熱意が芽生えた。
「小笠原の自然はこの地に足を運ぶ人にとって最大の魅力。この魅力に加え、新たな宿泊施設やサービスの提案が来島者の満足をさらに高めていくことにつながるのではないか」
長い構想期間と厳しい施工を経て平成18年、中心街から離れた閑静な小港地区に「くつろぎの宿 てつ家」がオープンした。
自然と調和する客室
建物の設計はエコ建築の第一人者に依頼、客室内で使用している建材には、防蟻剤、石油系化学塗料など不使用とし、室内外の壁は漆喰を使用している。
客室は離れ2棟、本館に洋室3室の全5室。白壁と無垢材、緑がたっぷり見える窓を配し、室内で過ごす時間も小笠原の風土と、落ち着いた安らぎを感じることができる空間だ。
シンプルかつ、さりげないおもてなしを大切にする館内にはこの地ならではともいえる、ゆるやかな時間が流れる。
小笠原の食材を大切に真心をこめて
お宿のコンセプトは「人と地球にやさしい大人の宿」。料理は新鮮な島の素材を中心に、化学調味料などは一切使わない、オーガニック食を意識したメニューだ。
夏の滞在では「シカクマメ」「島オクラ」等のおすすめ食材や、風味が秀逸と中村さんが太鼓判を押す希少な「島レモン」を使用した料理を味わうこともできる。料理修行のために島の飲食店仲間と「島の料理研究会」をつくり、日々美味しさを追求した経験が一品一品かたちになっているという。
手間をかけ、時間をかけなければ作ることができない美味しい料理は、食材と客人への真心が込められている逸品だ。
豊かな自然を求めてこの地を訪れる人々を、安らぎの空間と丁寧な料理で迎える「くつろぎの宿 てつ家」。
「小笠原の旅は、きっと心に残る旅になると思います。父島、母島、兄島、弟島、、家族の名がついた島々へ、やさしい自然と愛に包まれにいらして下さい。」