沖縄産薬草のパワーをサプリやお茶に。琉球酒豪伝説で一躍話題となった「沖縄長生薬草本社」/沖縄県南城市

「琉球酒豪伝説」という健康補助食品の名前を聞いたことがあるだろうか。沖縄で生まれ、今や全国で販売されているそのサプリは、世界唯一の沖縄ターメリックである皇金をはじめ、選りすぐりの薬草でできている。宮古島生まれのあるひとりの青年の沖縄の植物の力を信じる情熱は、多くの人に支持される商品を生み出した。

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沖縄の強い太陽光の下で育つたくましい植物の力

薬草の力をいただくことが長生きにつながる。その想いを社名にストレートに込めた「沖縄長生薬草本社」。沖縄本島南部、南城市の海が見えるのどかな土地に店舗と工場、畑がある。たくさんの薬草を育て、それらを使ってサプリメントやハーブティーを生産、販売している。

沖縄長生薬草本社を代表する商品はなんといっても琉球酒豪伝説だろう。その名前のインパクトや、コンビニなどでぱっと買える手軽さで全国的に知られるようになった健康補助食品だ。「酔わない」、「二日酔いにならない」などとして、お酒を楽しむ人たちの味方となっている。

ケガや風邪はすべて薬草で治していた

創業50年を迎えた沖縄長生薬草本社を始めたのは、現在会長を務める下地清吉さん。下地さんは、1945年、戦後間もなく宮古島で生まれた。その頃の宮古島には病院もなく、つくった傷や怪我、それから風邪や熱にも祖母が植物をとってきて、擦り付けたり、煎じて飲ませたりしていつも治してくれたのだそう。

一番大きなできごとといえば、小学生の時に木から落ちて腕を骨折した時のこと。いつものごとく、祖母が薬草を集めてきて患部にあて木片で固定し、鶏の皮で巻き、3ヶ月ほど続けたら、すっかり治ってしまったのだそう。そんな実体験があるから、薬草の素晴らしさと未知なる可能性を探究せずにはいられなかったという。

大人になり沖縄本島に出ても、植物にばかり夢中になっていた下地さんをまわりは変わり者扱いしていた。それでも研究をやめなかった下地さんは、道端にも雑草のように生えているような、それでいて様々な作用を秘めた植物を畑で栽培し、オリジナルのお茶を作り始めた。そして、29歳のとき沖縄本島で沖縄長生薬草本社を設立した。

その時にできあがったお茶が、今でも定番商品として販売されているブレンド茶の「福寿来」だ。沖縄長生薬草本社では現在、琉球酒豪伝説や福寿来のほかにも、40種類もの商品を製造販売している。

ウコンの持つ確かな作用に着目

ウコンという名前は全国的に知られるようになったが、もとは沖縄県民でさえもあまり親しみのあるものではなかった。下地さんは、沖縄でわずかに自生していたウコンの、人の体への作用や沖縄の土壌に合い生産性がいいことなどにも目を付け、多くの人たちにウコンの恩恵を受けてほしいと商品化を目指して研究を進めていた。

春ウコン、秋ウコン、紫ウコンと、種類がいくつかあるなかでも、特に希望を見出していたのは春ウコンだ。春ウコンは「キョウオウ」とも呼ばれ、秋ウコンにはない精油成分、クルクノイド・アズレン・カンファなど100種類以上の成分が含まれている。これを粉末やタブレットにしたものを、自分たち夫婦はもちろん、友人知人たちにも日常的に摂取してもらった。たくさんの体感や見聞を得て効果を納得できたのち、商品として売り出すことに踏み切った。

スタート当初は売り上げも伸びず苦しい日々が続いたが、ちょうど本土での沖縄フェアが行われるようになった時期、全国の百貨店に出店してまわる機会がやってきた。そこで購入してくれた人が、「沖縄フェアで買った黄色い粒を飲んでいたら元気になった」といった口コミが広がっていった。1980年代にやってきた健康食品ブームの波にも乗って、ウコンが注目されるようになっていく。そこから、沖縄でもやっとウコンの価値が知られるようになっていった。

需要は徐々に増え、まだインターネットもなかった時代、注文方法は電話や葉書だったけれど、全国から注文がどんどん増えていったそうだ。そして、「ウコンのおかげで健康になった」、「病気が治った」とお礼の手紙も続々と届いていたのだという。

琉球大学と共同開発し、3年かけてできあがったウコンのサプリ

それから10数年、ずっとウコンの薬効成分の分析をしたいと考えていたが資金の面からも踏み出せずにいたところに、沖縄県の新しい健康産業の創出事業で、琉球大学の医学部や農学部と共同研究ができるというまたとない話が持ち上がった。

春ウコンやグァバなど数種類の沖縄の植物の成分や効能、そして、複数の植物による薬効の相乗効果、薬効の活性を高めるための調合技術などが研究され、効果を示すための実験を幾度となく繰り返し、3年をかけて開発、誕生したのが琉球酒豪伝説だ。

春ウコンをメインに、他の薬草をブレンドすることで、特に肝臓の働きへのさらなる相乗効果が立証された。すべての原料は無農薬で栽培され、保存料や防腐剤、酸化防止剤などの添加物は一切使用していない。

春ウコンは、精油成分とミネラルが豊富に含まれている。精油成分は殺菌作用が強く、胃を守るので胃潰瘍などにいいとされており、抗酸化作用も高いといわれる。お酒を飲む人にもってこいのアイテムだけれど、飲まない人の健康増進にもおすすめできるものとなっている。

沖縄県で初めての天皇杯を受賞

沖縄長生薬草本社は、2005年には第44回農林水産祭で天皇杯を受賞。翌年には内閣府の沖縄振興功労者表彰を、そして、2017年春の叙勲では旭日単光章を受け、多くの人たちの健康の一助になろうと奮闘する数々の功績が認められている。

ウコンは根の部分を原料として使用する。根は大きく成長し、生姜の7、8倍にもなるという。もともとウコンはそのものに強い殺菌力があり、農薬をつかう必要もなく、肥料も入れずに水をやるだけですくすくと育つというとても丈夫な作物。

沖縄で栽培されるウコンには、春ウコンの他に、秋ウコン、紫ウコン、白ウコンがある。カレーになくてはならないターメリックは秋ウコンのこと。味は、春ウコンが一番苦味を持つ。実の色も、春ウコンは薄い黄色、秋ウコンは鮮やかなオレンジ、紫ウコンはうっすら紫、白ウコンは白と違いがある。春に花が咲くから春ウコンで、秋ウコンは秋に花が咲く。花の時期も、収穫時期も種類によって異なる。

また、20年にわたって研究、品種改良され、沖縄長生薬草本社でのみ育てられている沖縄皇金(おうごん)という品種もある。その沖縄皇金は、テトラヒドラクルクミンという非常に高い抗酸化力を持つ成分の含有に成功しており、琉球酒豪伝説などの商品にも原材料のひとつとして含まれている。このテトラヒドラクルクミンは通常のクルクミンより低分子のため、吸収率が高いという。

店舗の裏手には広いハーブガーデンがある。亜熱帯の生き生きとした植物やスパイスが育っていて、見学もできる。まだ国を越えた植物の持ち込み規制が厳しくなかった昭和の頃は、下地さんは外国への出張時にも、現地の有用な薬草を手に入れ、沖縄へ持ち返ることも欠かさなかった。

持ち返ったものはとりあえず植え付けてみて、沖縄の気候に合っているかを確認する。ここに植えられている植物は1000もの種類にのぼるという。実際、琉球酒豪伝説に配合されているギムネマシルベスタ、マンジェリコンも海外から持ち返り種を増やして、安定した栽培を可能にしている。

自社畑のほか、ウコンや薬草は、南城市を中心に、沖縄本島、そして宮古島の50軒ほどの農家さんと契約しており、自然栽培の健やかな原材料を確保できている。

あちこちの畑で収穫されたものは、ここに集められ、洗浄、選別、乾燥、殺菌をし、タブレットやお茶などを作って、パッケージングまで、店舗に隣接してある加工場で一貫して行われている。

「農家さんがいないとうちの製品は作れない」

3年前に代表を引き継いだ息子の隆彦さんは、「小さな頃からずっと手伝いをさせられていて、自営業も薬草も本当に嫌だった」と振り返る。大人になり一度別の仕事に勤めたが、家業をもっと伸ばしたい、支えていきたいと思うようになり薬草社に入社した。

それからは、両親が苦労して作り上げた製品の素晴らしさを多くの人に感じてほしいと尽力している。最近は、製品を携え、月に一度か二度ほど全国各地の催事へと出向いている。契約農家さんに対しては、「農家さんがいないとうちの製品は作れないから、農家さんの生活を守っていきたい」と、どこよりも高く買い取りすることを決めているという。

世代交代をし、会長は今でも毎日朝から畑に行き、植物とふれあっている。

健康食品はどうしても、効いているのかいないのか実感力に乏しいといわれる。けれど、琉球酒豪伝説の発売から20年経った今も売り上げがずっと伸びているのだそう。

とにかく健康に悩んでいる人が多い。その人たちの健康増進の手助けをしたい。その一心でこれからも、薬草の秘めた力を広めることに情熱を注いでいく。

ACCESS

有限会社 沖縄長生薬草本社
沖縄県南城市佐敷字仲伊保116-1
TEL 098-947-3214
URL https://shugodensetsu.okinawa
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