風味豊かなわさびの味 「杉山農園 杉山昌弘」/静岡県静岡市

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山葵は水以外を与えてはいけない

「山葵は水が最も重要なんです。澄んだ水でないと、山葵そのものも、にごった味になってしまう。」
そう教えてくれたのは、代々山葵栽培を続ける杉山農園の杉山昌弘さん。山葵田で収穫のお手伝いをしながら伺った話だ。

「ほかの野菜は、土に肥料を混ぜ込んで栄養をやるんでしょうけど、山葵は逆に何も与えてはいけない。
こうやって収穫するときも、泥など何も残さないようにしなくちゃいけないんです。」
杉山さんに教わりながら、中田も水の流れる山葵田から丁寧に山葵を抜いてみる。
顔の大きさほどあるのではないかというほどの成長ぶり。「こんなに大きくなるんですか!」と中田。

銀座の名だたる鮨店に卸している杉山さんの山葵

「そう、山葵の種類は、実は数十種類もあるんです。大きくなるもの、それほど大きくならないものがありますが、どれも1年から1年半くらい育てたものを収穫します。若い山葵は辛味があっても風味が足りない、育てすぎると、すりおろしたときの緑色の美しさが悪くなります。」
杉山さんの山葵は、辛味だけでなく風味がいいと評判が高く、地元の品評会で何度も優秀賞を受賞しており、銀座の名だたる寿司屋などにも出荷している。

山葵は根に近い部分は風味が強く、葉に近い部分は香りが良い。一つの山葵でも、すりおろす部分によって味が異なるので、料理人はその味を使い分けるのだと話してくださった。

収穫のあとで、奥さま特製の「わさびご飯」をいただいた。かつおぶしのかかった温かいご飯に、おろしたてのわさびを少し乗せて食べるというシンプルな食べ方だ。
「ツンとしない。香りもあるし!」と中田が驚くと、杉山さんがこういった。
「本当はわさびって、辛味を追求するものじゃないんですよ。風味がちゃんとあるのがわざびなんです。もしかしたら、わさびのおいしさが一番わかるのがこの食べ方かもしれない。」

そんな杉山農園のもう一つの人気商品は、「わさび漬け」だ。すりおろすした山葵ではなく、高く伸びる茎の部分を使っている。
地元藤枝の喜久酔大吟醸の酒かすを使用し、酒かすの甘みとわさびの風味豊かな辛みがうまく融合した逸品。お酒のおつまみにしても、ご飯のお供にも相性がよく、多くのリピーターから支持を受けている。

ACCESS

わさび農園 杉山農園
静岡県静岡市葵区梅ケ島5504
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