歴史が古い旅館
島根県松江市は北部が日本海に面しており、南部は中国山地が広がっている。また宍道湖や中海といった自然に囲まれた土地だ。そんな自然豊かなこの土地に「皆美館」はある。
皆美館は明治21(1888)年に創業した老舗料亭旅館で、かつて城下町であった松江の宍道湖畔に佇んでいる。創業120年余りの老舗旅館でありながら、リニューアルを経て、快適さと老舗旅館ならではの風格を感じることができ、多くの人々に愛されている。
湖に佇む宿「皆美館」
なんといっても皆美館の魅力は「湖畔に佇む宿」といわれるほどのロケーションの良さだ。宍道湖のほど近くにある皆美館は部屋から湖を一望することができる。そればかりか実際に湖の上にいるような錯覚まで味わうほどだ。太陽が沈んだり、雲が流れて行ったりと、表情を変える自然をより深みのある形で感じることができる。自然をここまで感じることができる旅館は他にないだろう。
2021年にはアメリカの日本庭園専門誌「ジャーナル・オブ・ジャパニーズ・ガーデニング」にて湖畔庭園が全国第4位となった。このように自然を生かしながらも、訪れた人々に安らぎを与える庭園の工夫も海外から評価されている。
また過去には皇族方をはじめとして、島崎藤村や岡本太郎、芥川龍之介といった文化人、政財界人、芸術家達に愛されたことでも知られている。特に島崎藤村は出発予定日を過ぎてまで宿泊をしたと言われており、今も当時のままの「藤村の間」が残っている。
疲れた体を癒す
もちろん旅の疲れを癒してくれるのは景色の美しさだけではない。温泉や食事も心のこもったもてなしを用意し、宿泊する人々を喜ばせている。温泉の泉質はナトリウム・カルシウム・硫酸塩・塩化物泉となっている。
また食材には地元の海の幸、山の幸を用いて、旬の料理や郷土料理で訪れた人の舌を満足させている。代表料理として愛されているのが、「鯛めし」である。この鯛めしは創業時から親しまれている一品だ。使われている鯛のそぼろは1.5〜2キロ級の国産鯛の刺身にする部分を贅沢に使用している。そこに鯛めしの生命といわれている鰹の本節をベースにした出汁をかけると、奥深くそれでいてあっさりとして上品な味わいに仕上がる。ここまで丁寧に作られている鯛めしは他とは似て非なるものであり、ここでしか食べることができない味に仕上がっている。
このように日々の忙しさから離れて、自然の美しさに触れありがたみを感じることができる皆美館は一度は訪れてみるべき場所と言える。
日々の生活の中でつかれきった心身を癒しに来てみてはいかがだろうか。