全国2300の住吉神社の総本社「住吉大社」

全国2300の住吉神社の総本社「住吉大社」

「いままで見てきた神社と建築様式が違う気がする」
大阪の旅で住吉大社の本殿を見ていたとき、中田があることに気がついた。住吉大社の本殿は第一本宮から第四本宮まで連なっていて、いずれも古い神社建築であることは間違いない。だが、よく見てみると屋根や壁の雰囲気が他の神社とは趣が違う。

尋ねてみると、住吉大社の建築は「住吉造」と称され、神社建築においては史上最古の様式だという。特徴は、檜皮葺(ひわだぶき:檜の皮で屋根をふく技法)で妻入式切妻造(つまいりしききりづまつくり:屋根の2つの傾斜面が山形になっている形状で横から見て屋根が八の字のように見える面[妻側]に入り口を設置している)、丹塗(にぬり:朱や丹という顔料を使い朱色に塗られている)の柱、そして貝殻のすりつぶした塗料による胡粉塗(ごふんぬり)された壁。案内いただいた宮司の方によると「天皇陛下が代替わりをする際に『大嘗祭(だいじょうさい)』という宮中祭祀が行われます。大嘗祭は新天皇が国の安寧や五穀豊穣を即位後初めてお祈りをする大変重要な儀式ですが、住吉造はその儀式のために造営される『大嘗宮(だいじょうぶぐう)』と似た構造をしているんです」ということだった。先述の本殿は古代日本の建築様式で国宝に認定されており、住吉大社の格式の高さがうかがえる話しだが、神社建築の専門家ならいざしらず、ぼんやり見ているだけでは建築様式の違いには気づかないが、全国の神社をめぐってきた中田の目は確かだった。

住吉大社は、約1800年前に建立された由緒正しい神社。全国に2300以上ある住吉神社の総本社として、大阪では古くから「すみよっさん」と呼ばれて親しまれている、摂津国一之宮(摂津地域で一番社各が高い神社)だ。正月三が日には、200万人以上の初詣客が訪れる。約3万坪と言われる広大な境内にあるのは本殿4棟のほかに、摂末社あわせて27社。住吉というと海の神のイメージだが、「航海安全の神」以外にも「祓の神」「農耕の神」「和歌の神」「武の神」「相撲の神」「招福猫(招き猫)の神」などなど、まさに日本古来、指折りのパワースポットだろう。

他にも、渡るだけで“お祓い”できる「反橋」や、意思を持ち上げたときの重さで願い事が叶うか否かを占うことができるという霊石「おもかる石」、『五』『大』『力』と書かれた石を拾い御守にすると願い事が叶うという「五所御前」など、見どころが沢山ある。むかし話で有名な『一寸法師』が、実は住吉大神の申し子だったと言われているのを初めて知ったが、一寸法師のようにお椀にのって写真を撮影することができるスポットがあるなんてものユーモアがあってよい。にぎやかな場所にあるため、常に多くの参拝客が賑わっていて、大阪らしい活気を感じさせてくれる場所でもある。

東京の都心ではかつて神社仏閣があった場所に高層建築が建てられ、敷地の一角にコンクリート造りの小さな本殿がおかれているという景色をたまに見かける。だが、住吉神社は100年後200年後もきっとこの地にあり、大阪の人々を元気づけていることだろう。広い境内を歩き、本殿に二礼二拍手一礼しただけで、パワーをもらえたような気がした。

ACCESS

住吉大社
大阪府大阪市住吉区住吉2丁目 9-89
TEL 06-6672-0753
URL https://www.sumiyoshitaisha.net/