世界が認めた最高峰の玉露「八女伝統本玉露」宮原義昭さん/福岡県八女市

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最高峰の玉露「八女伝統本玉露」

八女市は福岡県の南西部に位置する人口が6万5千人ほどの農芸都市である。 『日本書紀』にも記述のある山間の里で、世界に認められた「八女茶伝統本玉露」は作られている。玉露とは品種ではなく、栽培方法。一般的な煎茶が一番茶にはじまり二番茶、三番茶と1年に何度か収穫するのに対して、玉露は一番茶のみ。しかもそのほとんどを手摘みで収穫すること。煎茶とのもっとも大きな違いは、収穫の2~3週間ほど前から茶畑全体に被覆(カブセ)をし、日差しを遮ることだ。茶の苦み成分となるカテキンは、光合成によって増加する。
日射しを遮ることで光合成をしないことは、旨み成分であるアテニンを増加させることに繋がり、その結果、玉露は旨みの強い茶となるのだ。「八女伝統本玉露」は更に、茶樹を直接覆わず棚を作る事、枝葉を刈らずに伸ばす自然仕立てである事、藁などの天然素材を使って覆う事、また手摘みをすることが決まりとなっている。そのような決まりを守る事で「GI」の取得や「全国茶品評会」での20年連続日本一受賞や、パリの日本茶コンクールでのグランプリ受賞などと、世界に認められた最高峰の座を守っているのだ。この玉露の第一人者と呼ばれているのが、全国茶品評会で三度も日本一に輝いている星野村の宮原義昭さんだ。彼が作った玉露は、8g/1万円で販売されたこともあるという超高級品。自宅の目の前には、広めの家庭菜園ほどの茶畑があり、そこには収穫されたばかりで枝が目立つ茶木が並んでいた。

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お茶を育てるのは天地人

「茶畑というと日当たりのいい斜面にたくさんの茶木が並んでいるという印象でした。ここはかなり小さい畑ですね」(中田)「でもとにかく土がいいんです。ここで丁寧に育てれば、おいしい玉露ができるんです」
宮原さんは、「茶を育てるのは『天地人』」だと語る。天は日の光、地は畑の土、そして人。小さな畑ながら、宮原さんの畑にはそのすべてが揃っているという。
「うちでは囲いの上にわらを敷いて遮光します。天気によってわらの場所をかえたり、厚みを変えたりしながら、収穫の4日前からは99%まで遮光率を上げます」(宮原さん)
ぬるめのお湯でゆっくりと煎れた玉露は色も鮮やかだ。玉露はごくごくと飲むものではない。少量をじっくり味わう。宮原さんの玉露は、ほんの数滴を口に入れただけで、驚くほどふくよかな旨みと甘みが口中に一気に広がる。

「濃厚だけど、やさしい味ですね」(中田)
星野村はその名の通り、夜には美しい星空が広がり、また初夏には蛍が儚く美しい光をなして群れる名所としても知られている。澄んだ空気のなかで最高の茶を楽しむ。都会ではありえない贅沢な時間を過ごすことができた。

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宮原義昭さん
福岡県八女市星野村
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