文字を媒体にした描写「書道家 佐伯司朗」/埼玉県朝霞市

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書が伝える作品とは

佐伯(さへき)司朗さんは、宮内庁文書専門員として、今上天皇祐筆を務める、つまり天皇、皇后両陛下のお言葉や親書などを代わりに”書く”ことをしている人物。数々の賞を受賞し、大学でも講師をするなど書道界の第一線で活躍している。
だから、いわゆる”書”の素晴らしさはいうまでもない。が、佐伯さんは「文字を媒体としていれば、どんなものでも”書”になるのではないか」という。見せてくれたのが、オーロラをイメージして、絵の具で書いた「極光」という文字。彩色もしてあり、模様も書き込んである、一枚の絵のような作品だ。極光という文字だけ見ているだけでは伝わらないイメージが頭のなかに膨らんでくる。これも”書”だと佐伯さんは言うのだ。

アルファベットを書道する

「若い人たちにも、書道ってそんなにかたいものじゃないってわかってもらいたいんです」佐伯さんはそういう気持ちからポップソングの歌詞を書くということもしている。

「そのなかには英語も出てきますよね?」と中田。当然の疑問だろう。佐伯さんはそのアルファベットも書道、しかも縦書きで書いてしまうのだ。それがまったく違和感がないのだ。

「例えば命っていう字がありますよね。それを分解してみたら、A、O、Pみたいですよね。つまりはそういうことなんです」なるほどと思わされてしまう。

字をうまく書くにはどうすればいいのか

佐伯さんの作品を拝見したあとに名前を毛筆で書く講座を開いてくれた。佐伯さんによれば中田英寿という字は難しいという。
「中田は画数が少なく、英寿は多い。それでバランスをとるのが難しいんです」
 佐伯さんが言うには、字をうまく書く秘訣の第一はバランス。中だけ、田だけ、というふうに一文字を見てしまうと、バランスが崩れてしまうから、”中田英寿”全体を見るのがコツだという。
 第二の秘訣は、縦線を太く、横線を細くするということ。漢字は横線が多いから細くする。バランスをとるために縦線は太くするべしとのこと。また、文字は右側のほうをより太くするといいそうだ。
そのアドバイスを受け、中田が自分の名前を書く。「うん」と自らうなずく出来栄え。記帳など、名前を書くことが多いという中田は、「これで名前を書くのが嫌じゃなくなった」と言っていた。

ACCESS

現代書道研究所 書道家 佐伯司朗
埼玉県朝霞市三原3-7-15
URL http://www.cosmosginga.com/
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