佐賀の自然の象徴「御船山楽園」
海があり、山があり。佐賀では人々の生活が自然と密接につながっている。そのひとつの象徴ともいえるのが、武雄市にある庭園、御船山楽園だ。1845年に当時の佐賀藩第28代武雄領主・鍋島茂義の別邸の庭園として3年の月日をかけてつくられたが、明治期以降は、桜やツツジの名所として近隣の人々の目を楽しませてきた。
昼も夜も魅力的な御船山楽園
日本庭園というと、小さな池と築山に手入れされた植物を思い浮かべる人が多いだろうが、この御船山楽園の景色は、もっとワイルドだ。目の前にそびえ立つのは岩肌もあらわな標高210メートルの御船山。その荒々しく起伏に富んだ岩肌を埋め尽くすかのように、3月には桜、4月からはツツジが咲き誇り、秋には紅葉が色を添える。
敷地は約15万坪。昼間にのんびりと園内を散策するのもいいが、夜になるとライトアップされ、その風景は一層幻想的に変わる。決してきらびやかな光ではない。むしろおさえのきいたライトアップのなかにたたずんでいると、草木や花が放つにおいに包まれ、気分がゆったりと落ち着いていく。
チームラボが手がけた不思議な世界
さらに幻想的な雰囲気を味わいたいなら、敷地内にある御船山楽園ホテルを訪ねてみるのもいいだろう。玄関の自動ドアを抜けると、そこに広がるのはゆらゆらと輝く色とりどりのベネチア製のランプが無数につらなる不思議な世界。まわりは鏡に囲まれているため、どこまでも広がっているように思える空間を手がけたのは、あのチームラボだ。豊かな自然のなかにいたはずが、一瞬でアートの空間へ。その劇的変化についていけず、自分がどこにいるのかわからなくなってしまいそうだ。