焼き物のメッカ佐賀でも真の焼物好きが訪れる“秘窯の里”と呼ばれる大河内山

焼き物のメッカ佐賀でも
“秘窯の里”と呼ばれる大河内山

佐賀は、陶磁器の名産地。県内には、有田焼、伊万里焼、鍋島焼、唐津焼、波佐見焼など、全国に名の知られる産地が点在する。この地で陶磁器の生産が盛んになったのは、豊臣秀吉が朝鮮出兵の際、多くの朝鮮陶工が連れてこられたからだと言われている。各地で行われる陶器市には全国から多くの人が集まり、日本最大級といわれる有田陶器市ではその数なんと100万人。カップルやファミリー、子どもからお年寄りまでたくさんの人々が楽しそうにそれらを買い求める姿に、佐賀という土地の文化の豊かさを感じる。

そんな佐賀県内で“秘窯の里”といわれるのが大河内山。現在は、鍋島藩窯公園として整備され観光客でにぎわうこの場所に行くには、曲がりくねった山道を抜けなければならない。四方を山に囲まれ、そこに川が流れる自然豊かな丘陵地には、17世紀から19世紀にかけて鍋島藩の徹底した管理のもと「色鍋島」「鍋島染付」「鍋島青磁」などを生み出した藩窯があった。入り口にあたる橋の欄干には大きな花器が飾られ、橋の周辺は鍋島焼のモザイクで彩られている。製陶の秘法を守った関所や登り窯跡など歴史的遺産などが記された町の案内地図も焼き物だ。曲がりくねった坂道沿いには、レンガ造りの煙突や窯元が立ち並び、そのまわりには多くの焼物店が営業している。
素人目には有田焼と伊万里焼、さらには鍋島焼の区別は判然としないが、並んでいる作品からは、他にはない高級感が漂っている。茶器が少なく、主に皿類が焼かれていた、青みを帯びた地肌に裏文様が描かれているなどの特徴があるといわれているが、かつては藩内の他の窯の職人の出入りも厳しく禁じられたということもあり、鍋島焼には現在でも謎に包まれている部分が多いという。
ろくろや絵付けの体験ができる店も多くあるが、“秘窯の里”だけあって、ここまで訪ねてくるのはよほどの焼き物好き。陶器市ほどの人混みではないので、ゆったりとした気分で焼き物の魅力に触れることができる。山があり川があり、季節ごとの花が咲く大川内山。佐賀の豊かな自然は、いにしえの職人たちにもイマジネーションを与えたことだろう。有名産地とはちがう、窯の雰囲気を味わいたい人は足を運ぶ価値がある

こちらでもご紹介しています。

ACCESS

鍋島藩窯公園・大川内山
佐賀県伊万里市大川内町26
URL http://www.imari-ookawachiyama.com/index.html