80年、曲げ物一筋。「曲げ物師 村地忠太郎」/長野県木曽町

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木曽ひのきを曲げる術。

1917年に木曽で生まれ、御年94歳の村地忠太郎さんは、今でも現役バリバリの曲げ物師だ。学校を卒業後、すぐに父親のもとに弟子入りし、以来80年、曲げ物師一筋で生きてきた。
精緻な作りと美しさが評価され、宮内庁御用達木地師となり、公式行事に使われる道具や弁当箱など数々の品を皇室に納めてきた。ひと言でいえば、名人である。

良質な木曽ひのきをナタなどで、薄く挽いて木地を作り、それを7日ほど水につけたあと、お湯をかけて曲げていく。木地は均等な厚さでなくてはならないし、曲げにも狂いがあってはいけない。ものすごく繊細な作業なのだ。曲げ物師は木地師ともいわれる、その理由は、木地の美しさを出さなくていけないから。

村地さんの作品の多くは、木曽春慶に代表される漆器である。漆器においては木地師と塗り師は二人で一人だ。木地師が出した木目の美しさがあってこそ、塗り師の腕も冴える。木地師の腕が如実にあらわれる仕事である。

村地さんは「木地師はあくまでも木地師。製品になる素地を作るのが仕事」と言い切る。ナタを握ってから80年、自分の本分を見据え、そのことにずっと向き合ってきた村地さん。
今でも現役で仕事を続け、美しい木目を引き出し続けているその姿は、とても若々しかった。

ACCESS

木地屋 村地忠太郎
長野県木曽郡木曽町
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