循環型で化学肥料を使わないノースプレインファーム
樹々が生い茂る大地と青いオホーツク海。紋別郡の北部に位置する興部(おこっぺ)町のノースプレインファームは循環型酪農を体現し、化学肥料を使わないオーガニック認証の牧草によって自然な牛乳づくりが行なわれている。100ヘクタールもの広大な牧場に50頭前後の搾乳牛を放牧。北海道は牛にとって過ごしやすい場所だが、実際に放牧をしているところは少ないという。ここでは牛一頭一頭を尊重して飼育し、美味しい飼料と穏やかな環境から、一番美味しい牛乳が出来上がる。「オホーツクおこっぺ牛乳」はふくよかな甘味のある味わいで、ほのかに牧草の香ばしさが漂う。
3カテゴリーで有機JASを認定
チーズなど加工品も同じくオーガニック認証を得て、飼料、生乳と3つのカテゴリーで有機JAS認定を取得。これは日本で2例目の希少なことである。一帯に構えた加工品の製造工場を見せてもらった。採れたての新鮮なミルクを使用したチーズやバター、ヨーグルトは意識して日本人の味覚に合うように作っている。バターは軽くライト、ホイップバターのような味わい。チーズは「ゴーダチーズを筆頭に、分かりやすく、食べやすいもの」に仕上げている。主力のヨーグルトは生乳そのものを生かし、牧草の甘味がほのかに感じられると人気だ。「素直に食べて美味しいといえるものを作りたい」。この想いが品質を高め、多くの人に喜ばれる製品を生みだす。
コストのかかるオーガニックだからこその工夫
実際に試飲させてもらうと、「口に入れた時の甘味が強い。濃厚だけれどくさみはまったくない」と中田も絶賛。牛乳は冬と夏でも味が違い、夏のほうがさっぱりとした味だそうだ。直売だけでなく地元の生協と提携して販売もされている。コストのかかるオーガニックな酪農。できるだけ値段を抑えるために容器の工夫もなされた。生乳やヨーグルトはシンプルなデザインのプラスティック容器が採用され、流通も考慮された設計となっている。