すもも、桃 —— みずみずしい美味しさ
「すもも」というと、普通スーパーで見かけるのはピンポン玉を少し大きくしたぐらいのものだろう。しかし、久津間紀道さんの農園になるすももは、野球のボールぐらいはあろうかという、ずっしりとしたものだ。
園を案内してもらって、最初に食べさせていただいたのが、このもぎたてのすもも。中田も「大きいですね」と驚いたが、驚くのはまだはやい。口にしてみると、その甘さに誰もが仰天する。
久津間さんの農園で主に作られるのはやはり桃で、しかも収穫時期のことを考えて十数種類の桃を栽培している。桃を試食させていただく際、ナイフがなく、手で桃を半分に割ったのだが、指に力をいれた途端に果汁がどんどん溢れてくる。平均糖度は久津間さんによると14度から15度で、甘さも申し分なく絶品の桃だ。
数々の難関を越えて —— 手元に届くのは、わずか数%!
「おいしい桃を作るのに、心がけていることは?」という中田の質問に、久津間さんは「難しいですけどね」といってこう続けた。「どれだけ手をかけるかということかもしれませんね。実はみなさんのお手元に届く桃というのは、本来一本の樹につけるはずの実からすれば、数パーセント。つまり90%以上は摘んでしまうんです」
まずつぼみの段階で3分の1ぐらいに選別。さらに花をつけたとき、幼果の段階、袋をかけるとき、といったように、ステージごとに選別をしていくという。
「それだと相当な手間がかかるんじゃないですか?」
「たしかに。つぼみで落としちゃえばいいという人もいます。でも、それだと養分のバランスが悪くなってしまうんですよね。だから段階ごとに選り分けていくしかないんです。それで最後においしい桃が残るんです」
久津間さんの作った、選りすぐりの桃。
「じゃあ、相当な難関を超えて僕らのもとに届いているんですね」と中田。
「そう、実はね、東大に入るより難しいんですよ!」