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自給自足の古民家の宿
山々に並ぶ風車と青く透き通った海を横目に車を走らせると、岬の先に築100年の古民家が見えてくる。
そこは、永山本家酒造の杜氏・永山さんに紹介された自給自足の宿「百姓庵」。「天地返し」という特殊な技法で、室町時代からの伝統の塩を作っているところだ。
30年間空き家だった古民家を、宿の主人が2年がかりで改装したという宿の中は、アジア旅行が趣味だという主人が、アジア各地で買い集めた置物がズラリと並べられ、その他に主人の奥さんの趣味だという中国茶を楽しめる部屋や、手作りの五右衛門風呂など、こだわりの空間が広がる。
特殊な技法で作られる伝統の塩
伝統の塩の名前は「百姓の塩」。この宿で買うことが出来る。
海水をただ煮詰めて作った塩は、海水と出来上がりで、含まれるミネラルバランスが変わってしまう。それを防ぐために、「天地返し」という特殊な“混ぜ”の技法を行うことで、海水とまったく同じミネラルバランスの塩を作る事が出来るのだ。
「生活に必要なものは、できるだけ自分で作る」をテーマに、好きなものに囲まれ、お金に固執せず、食べる分だけの野菜や米、塩を作り生活する宿の人々の姿に、人間本来の生活スタイルを見た気がした。