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美酒を求めて
岡山県には、備前・備中・美作(みまさか)の3つの地域がある。そのなかで、美作とは「うまさか(美酒)」が訛ったものらしい。これは奈良時代の書物「播磨風土記」に登場する話だというから、相当昔から美作の酒は諸国で評判を得ていたのだろう。
この美作の地で、江戸の文化元年(1804年)から創業している蔵元が、「御前酒蔵元 辻本店」だ。
創業時より美酒の誉れが高く、古くは与謝野鉄幹・晶子夫妻、文豪・谷崎潤一郎、昭和の芸人・渥美清、永六輔など、美酒をこよなく愛する著名人たちが多く来遊した。
雄町米を仕込む
辻本店は、岡山県の高級酒米・雄町米の使用量が県下でもNo.1という蔵でもある。軟質で原料処理が難しいとされる雄町米での酒造りの技を継承し、いまも改良を重ねながら受け継いでいる。
現在は、かつての酒の貯蔵庫を改装した「西蔵」というレストランを運営しているので、誰もが美作の酒と食の文化を気軽に味わうことができる。