手漉きにこだわった和紙「天神産紙」/愛媛県五十崎町

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大凧合戦と和紙

愛媛県の五十崎(いかざき)は、清流小田川と大凧合戦の街。現在は合併されて内子町となっているが、毎年5月5日におこなわれる大凧合戦は健在だ。大凧合戦は、小田川を挟んで数百の大凧が空を舞い、“ガガリ”と呼ばれる刃物で相手の凧の糸を切り合う勇壮なもの。400年もの歴史を持ち、県の無形文化財にも指定されている。
この大凧にも使われるのが、この地方に古くから伝わる大洲(おおず)和紙だ。以前、この「Revalue NIPPON “島根篇”」で、柿本人麻呂によって製紙技術がもたらされたという石見地方を紹介したが、その技術が海を渡ってたちまち伊予の大洲地方にも伝わったのだとか。その後、大洲和紙は繁栄を極め、江戸時代には日本一の和紙と謳われた。

手作りの和紙のあたたかみ

今回中田がお邪魔した天神産紙は、大正初期に創業された工場。当初は25槽で営業し、終戦時には15槽になったものの、手漉き和紙工場としては日本一の規模を誇ったという。
機械による製紙が一般的となっても、古来の技術をかたくなまでに守り続け、従業員全員が国および県の伝統工芸士の認定を受けている。天神産紙の和紙は、大凧以外にも書道用紙や障子紙、表装用紙などに用いられているが、なかでも書道用紙は質・量ともに日本随一。取材時現在では、大洲和紙の業者は町内にわずか2軒を数えるのみとなってしまったが、天神産紙では伝統の灯火を消さないよう、手づくり品のあたたかみを誇りにしつつ、手漉き和紙に日夜励んでいるのである。

ACCESS

天神産紙
愛媛県喜多郡五十崎町平岡甲1240-1
URL http://www.ikazaki.ne.jp/crafts/
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