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建築家ブルーノ・タウトが見出した工芸品。
竹皮編とは、読んで字のごとく、竹の皮を使った工芸品。皮を細かく裂いて、それを巻きながら針で縫いこんでいくという手法で、丈夫な籠などが作られる。竹工芸と聞けば、日本に古くからあるものだと思うだろう。
ところが意外や意外、ここ群馬県の西上州竹皮編、じつはドイツ人建築家によって生み出されたものなのだ。
西上州竹皮編の生みの親は、1933年から日本に滞在した世界的な建築家、ブルーノ・タウト。
タウトは、高崎で草履表を作っていた職人の技術に注目し、それを用いて日用品を作ることを思いついた。タウトのオリジナルデザインのパン籠や、ヤーンバスケットは現在でも残されている。余計な彩色などをほどこさないがゆえに、素朴ながら力強さを感じることのできる民芸品だ。
復活させた文化を継承していく。
しかしこの西上州竹皮編の技術、いったんは廃れてしまっていた。それを復興したのが、今回お話を伺った前島美江さんだ。25年前に西上州竹皮編の魅力に取り憑かれた前島さんは、古い職人を訪ね歩いて教えを請い、昔の資料をひも解き、最初の道具から復活させた。
現在は、少しでも多くの人に知ってもらいたいと、一般の人に技術を伝えるお仕事もされている。
というわけで、中田も前島さんに花籠の作り方を教わった。
「隣に風鈴を飾ったら、さらに涼しげだよね~」と出来栄えにすっかりご満悦の中田。
西上州竹皮編の作品はどれも涼しげでありながら、竹の持つ丈夫さと、心地よい豊かさを感じられる逸品だ。