NIHONMONO「にほん」の「ほんもの」を巡る旅マガジン

滞在することで新しい視点をもてる「HOTEL WHY」

滞在することで新しい視点をもてる「HOTEL WHY」

2020年5月、人口1511人(2021年1月1日現在)と四国の町のなかで最も人口が少ない徳島県上勝町にオープンしたゼロ・ウェイストアクションホテル「HOTEL WHY」。『ゼロ・ウェイスト』とは、“Waste=廃棄物”ゼロのこと。上勝町は2003年に日本の自治体で初めてとなる、ゼロ・ウェイスト宣言をして、ごみをゼロにする=ごみをどう処理するかではなく、ごみ自体を出さない社会を目指している。自治体によるごみの収集を行わず、生ごみなどはコンポストを利用して各家庭が堆肥化しているほか、瓶や缶などの「資源ごみ」は住民各自が 『ごみステーション』に持ち寄って45 種類以上に分別、リサイクルをしている。




「HOTEL WHY」はそのごみステーションや、消費者・販売者・生産者などが研究や教育を行う機能を持ち合わせた上勝町ゼロ・ウェイストセンターの一角にあり、実際に45分別を体験することができる宿泊施設。上空から見ると“?”の形になっているという個性的な建築の“・”の部分にあるのが「HOTEL WHY」だ。

「ここではもともと野焼きをしていたんです。でも水源地でもある上勝町がそんなことではいけないということになり、このごみ処理施設がつくられることになりました」(HOTEL WHY・大塚桃奈さん)

「廃材や窓枠など、町の人が持ち寄った資材でつくられています。上勝町ではごみの収集がないのですが、ここにみんながごみや不用品を持ち寄ることで、コミュニケーションや学びの場所にもなっています」(大塚さん)


ここに持ち寄られたごみは、約80%がリサイクルされている。一般的には、約20%だというからかなり高い数字といえるが、上勝町ではさらなる努力でゼロ・ウェイストを目指しているそうだ。

設計を担当したのは、注目の若手建築家の中村拓志さん。『なぜそれを買うのか?』作るのか、売るのか、捨てるのか、消費者や生産者への問いかけをテーマにした個性的な外観に反してインテリアは落ち着いた雰囲気。部屋の窓からは上勝町の豊かな自然を望むことができ、とても居心地がいい。

ホテルのチェックイン時には上勝町のゼロ・ウェイトに関する取り組みの説明があり、滞在中に必要な分の飲み物やせっけんを量り分けしているし、チェックアウトの際には、実際に45種類にごみの分別をすることで上勝町の暮らしを体験し、日々のごみを見直すきっかけづくりになっている。


「このホテルをつくることで、上勝町に来る町外の方々にもゼロ・ウェイストやSDGsについてについて学んでいただく機会になればいいなと思っています」(大塚さん)

星付きのレストランがあるわけではなく、大きな露天風呂があるわけでもない。使い捨てのアメニティがないのも、ホテルのコンセプトを考えれば当然だ。夕方をすぎればクルマの通りもほとんどなく、一番近いコンビニまでもクルマで30分近くかかる。だが、この不便さが新鮮かつ気持ちいい。決して贅沢なホテルではない。山あいの小さな町にある美しい自然や星空があるだけの場所、だがそこからは新しい時代のホテルの形が見えてくるような気がした。

ACCESS

HOTEL WHY
徳島県勝浦郡上勝町大字福原字下日浦7番地2
TEL 080-2989-1533
URL https://why-kamikatsu.jp