NIHONMONO「にほん」の「ほんもの」を巡る旅マガジン

能登イタリアンと発酵食の宿「ふらっと」

能登イタリアンと発酵食の宿「ふらっと」

日本海と立山連峰を一望する高台に建つ「ふらっと」は、オーストラリア出身のベンジャミン・フラットさん(通称ベンさん)と女将の船下智香子さん夫婦が営む、1日4組の小さな宿。地元・能登の新鮮な食材や自家製の発酵食品を使ってベンさんが作る、“能登イタリアン”が評判だ。

ベンさんは13歳の時からオーストラリアの実家のレストランで手伝いを始め、シドニーのイタリアンレストランでは料理長まで務めたキャリアの持ち主。結婚を機に来日してからは、智香子さんの実家が営んでいた民宿「さんなみ」で能登の郷土料理を修得した。

そんな彼は、料理だけでなく、この地域特有の調味料や保存食まで作っている。たとえば新鮮な真イカの内蔵を塩に漬けて3年ほど発酵させた自家製の「いしり」は、能登半島で昔から作られているまろやかな魚醤。日本海を見下ろすダイニングでの夕食では、この自家製「いしり」をはじめ、能登の季節の食材をふんだんに使ったコースが楽しめる。能登の食文化とイタリア料理を融合させた独自のスタイルは、ベンさんならでは。日々の献立はイタリア料理の「地産地消」の精神に基づき、その日に獲れた魚介を見て決められている。

朝食に出される「こんかいわし」や「こんか鯖」は、いわしや鯖を糠・塩・唐辛子で漬けて作った、昔ながらの能登の保存食。市販されているものの発酵期間は半年から1年ほどの場合が多いが、「ふらっと」の朝食で楽しめるのは、2~3年かけてじっくりと発酵・熟成させた自家製の逸品だ。「焼いて食べるのがオーソドックスですが、刺身や鍋の具にしてもいいですし、和製アンチョビとしてサラダやドレッシングなどにも活用できるんですよ」(ベンさん)。

「ふらっと」で味わえる能登の伝統食は、他にもいろいろ。たとえば干した大根をいしりに漬けて作る「べんこうこ」は、焼いて楽しむ食べ方も珍しい、能登特有の漬物。ぷっくり焦げ目が付き、いしりの香りが立ち上ってきたら食べごろだ。自家栽培のゆずと能登の天然塩、唐辛子を4年漬けた「ゆうなんば」(1000円)は鍋の薬味などに最適。「ゆうなんば」と「自家製いしり」(900円)は、お土産としても好評だ。

客室は本館の3室(10畳)と、檜風呂付きの離れの1室(8畳+6畳)。本館の客室でも、2020年11月に完成した別室の総檜の浴室などを利用することができ、料金は一律1泊2食20,350円(土曜・祝前日・連休は22、550円)。どの部屋の窓からも楽しめる富山湾と庭の眺めは、中田英寿も印象に残ったと語る美しさだ。能登を訪れる際にはぜひ一泊して、四季折々の自然と “能登イタリアン”を味わってほしい。

ACCESS

ふらっと
石川県鳳珠郡能登町矢波27−26−3
TEL 0768-62-1900
URL https://flatt.jp