京都の料亭のひとつ「京都南禅寺畔 瓢亭」
「懐石」の由来には諸説あるが、禅宗の僧が寒さを和らげる為に懐に温めた石(温石:おんじゃく)を入れたことがその原型ともいわれており、「懐に少し入れておく」意から茶会の際に振舞われる料理を「懐石料理」と呼ばれている。語彙の近い「会席料理」は、お酒を楽しむための料理という区別がつけられているのだ。
京都の街中には、京文化を象徴する名所がいくつもあるが、「京南禅寺畔 瓢亭(ひょうてい)」もその名所のひとつ。約450年前に、旅人が脚を休めるお茶屋として創業したという、南禅寺の参道に面する店先には、今もその風貌を残しており、腰掛けにわらじ、笠、水がめ等が置かれている。
京都の魅力溢れるおもてなし
懐石料理の伝統を受け継ぐ瓢亭本館のお茶室は全て離れ座敷になっており、どこからともなく聞こえる水のせせらぎとお庭の緑が美しい、奥ゆかしい光の演出を感じながらお料理を頂くことができる。一番古いお茶室は400年も昔に建てられた「くずや」。そのひとときは、作法や雰囲気、お料理の全てが伝統文化を体験すること。
別館では、もう少し気軽にお食事ができるように、お茶室ではなくお座敷やテーブル席が設けられており、松華堂弁当や名物の“朝がゆ”を頂くことができる。創業以来、訪れる客人に振舞われてきた“瓢亭玉子”は、一子相伝の逸品。もてなしの気持ちと共に、食事に小さな花が咲く。さらに、契約農家から仕入るこだわりの京野菜の加茂なす、聖護院かぶら、田中唐辛子といった食材が料理に奥行きを作る。
「できたての味をそのままに出すおもてなし。決して華美に走ることなく、それでいて品格のある料理をお出しするよう日々努めております。」瓢亭のホームページにはこういった言葉が記されている。独自の空間とお料理によって完成する感動は、体験してみなければわからないもの。「京南禅寺畔 瓢亭」の魅力は、いつの時代も人々の心を引きつけて止まないのだ。