伝統と新商品で楽しむ日本酒「曙酒造合資会社」/福島県会津坂下町

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曙酒造が目指す日本酒

1904年に生まれた曙酒造(あけぼのしゅぞう)。それから100年以上、会津の地で愛され続けてきた酒蔵だ。会津は四季の色が濃く出る地域。冬になればすっぽりと雪に覆われてしまう。曙酒造の蔵ももちろんそう。雪のなかでじっくりと酵母が発酵していくのを待ち、100年以上変わらぬ味を作り続けている。
曙酒造のお酒へのスタイルは「代々受け継がれてきたいいものを次代へ」というものだ。「天明」や「亀の尾」といった、曙酒造不動の人気ブランドはまさにその意思が息づいたお酒。スッキリと飲みやすく。いかにも日本酒という喉ごしで、いくら飲んでも飲み飽きない。そんなお酒である。

濃厚なヨーグルトのお酒

ただし、お話を伺った杜氏の鈴木孝市さんは、受け継がれてきたものを「そのまま」作り続けるだけではダメだと思うと話してくれた。そのひとつの象徴がチャレンジだ。試飲で出されたのは、地元でのみ収穫されるお米、瑞穂黄金を使用して醸された日本酒と会津産の原乳100%で作られたヨーグルトを合わせた日本酒ベースのヨーグルトリキュール。まずはいただいてみる。
「結構ヨーグルトの濃さがありますね」と中田が感想をもらすほど、ヨーグルトの味が出ている。これならば、いかにも“日本酒”というお酒が苦手な人でも、気軽に口にすることができる。ほかにも昨年からチャレンジしているという梅酒をいただいた。そういった甘口のお酒にチャレンジすることで、日本酒離れしている若者や日本酒が苦手な人にも、お酒を飲んでもらいたいと鈴木さんは言う。

どうしてこんなことを?

ただし、伝統のある酒蔵。最初は従業員から「どうしてこんなことをするの?」と言われたという。それでもレギュラー酒の需要がどんどん減っているという現状を考えて、「こちらから、お酒のほうから世間への歩み寄りも大切なんじゃないか」と思ったそうだ。最初は戸惑い気味だった従業員も、一本また一本と新しいお酒ができていくうちに、鈴木さんの考えに納得していった。
鈴木さんに酒造りの面白さを聞くと、こう答えてくれた。
「酒造りは本当にやりがいがあります。米も水も毎年違う。それをつきつめて器にのせていかなくちゃいけないというのがおもしろい」
確かに、少しずつではあるかもしれないけれど、素材が毎年違う。毎年お米と水が違うから、毎年違うお酒ができる。これは飲み手としても楽しみであるはずなのだ。
お酒のほうからも様々な味や特徴を持った商品で消費者に歩み寄る。消費する側も、お酒について知る。日本酒という文化をより楽しむ可能性がまだまだあるのではないだろうか。

ACCESS

曙酒造合資会社
福島県河沼郡会津坂下町戌亥乙2
URL http://akebono-syuzou.com/
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