自然を信仰する岩窟の寺 「那谷寺」/石川県小松市

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白山の霊場「那谷寺」の始まり

那谷寺(なたでら)のある白山(はくさん)は、その流麗な姿から、太古の昔より女神の住む山として崇められていた。
その白山の洞窟内に、泰澄(たいちょう)法師が千手観音の姿を彫り、安置したのが那谷寺の始まりだそうだ。それが今から約1300年前、717年のこと。

那谷寺の名前の由来

平安時代中期には、花山法王が訪れ、「私が求めていた観音霊山三十三カ所の風景は全てここにある。」と、大変気に入られた。このとき、西国三十三カ所の第1番那智山の「那」と、第33番谷汲山の「谷」をとって「那谷寺」と名前がついたと伝わっている。

那谷寺の洞窟を歩く

その後、人々の崇敬を集めたが、南北朝の戦乱に巻き込まれ、寺は荒廃の道をたどる。それを再建したのが加賀藩第三代藩主、前田利常であった。以来、那谷寺は厳然と美しく険しい山の中に立ち続けている。

那谷寺は岩山や洞窟がたくさんあることでも知られている。国の重要文化財に指定されている「大悲閣拝殿」「唐門」は岩窟の入り口に建てられており、「本殿」は岩窟内にある。

この洞窟の中からは、縄文土器が多く出土された。近代の寺としての始まりよりもはるか昔から、洞窟では何らかの宗教的な行事が行われていたのではないかという研究もされている。

自然の摂理を感じる場所

那谷寺の名所である、奇岩遊仙境。山肌の岩場に仏像が祀られ、山水画のような景色が美しい。訪問したのは、緑があふれる夏の日。
「それにしても、これだけすごい緑に囲まれて…でも自然に溶け込んでいる。すごいつくりですね。」と、奇岩遊仙境を眺める中田。
「昔の人は、自然の中に自分の存在を置かせてもらっていたのです。」そうお話を伺った。

那谷寺は、自然の摂理を信仰するお寺。境内の四季の美しさは、偶然のようでありながら必然の姿なのだ。その自然美は、現在も大切に受け継がれている。

ACCESS

那谷寺
石川県小松市那谷町ユ122
URL http://www.natadera.com/
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