地平線に沈む夕日、太陽の恵みで育ついちご。
茨城県下妻町の平野に広がるビニールハウス。全国でも珍しく、地平線に沈む夕日を見ることが出来るこの場所でいちご作りが行われている。ストロベリーフィールズは13年前に開業したいちご農園。代表の遠藤健二さんは、元々農家出身ではなかったということで、「どうして、いちごだったんですか?」と中田が質問する。 「やはりお金は稼がなければいけません。それには、どうやって品質差を出すか、頑張って、味で勝負できるものを作ればいいのだと思いました。それに、いちごはすごく人に喜んでもらうことができる作物だと思ったんですね。」と遠藤さん。広いビニールハウスは、経験を積み重ねて拡大していったのかと思いきや、意外な答えが。「実は、いっきに大きなハウスを作ってしまって、やってみたら、妻と二人じゃ回せないことに気がつきまして大変でした。そこから必死に研究せざるを得なかったです。」
「いちご」は、日本人の生み出した傑作!
ハウスの中でまず気になったのは、音楽が流れていること。ビートルズ、モーツァルト、映画の挿入曲、ビヴァルディ。「効果の程は?」と中田が聞くと、「そうですね、良くなっていると思います。」と笑う遠藤さん。 ストロベリーフォールズでは、土の中の微細物を最大限に生かしたいという考えから、農業を始めて以来、土の化学薬品消毒を一切行っていない。「連作すると土が弱くなるといいますが、うちは毎年良くなっています。」そう断言するほど、畑の土作りを徹底的に行っている。
「昔、師匠に美味しく育てるポイントを聞いたら一言、”いちごに聞け”と言われました。」いちごに対して手間ひまを惜しまない作り方を、遠藤さんは日本の独特の文化だと言う。外国のいちごと全く違うというのだ。 「いちごは、人の都合に合わせようとすると、全くダメなんです。私は御用聞きですよ。そういう、まったく合理的じゃないことを必死になってやるのが、日本ならではだと思います。いちごはね、日本人の生み出した傑作だと思いますよ。」 それほどまで気を配らなければ、美味しい作物は育たない。これまで訪問したどの農家さんにも共通する、この熱意が「美味しさ」を支えている。
ホワイトいちご「初恋のかおり」を生産する。
全国でも数件しか生産していない「ホワイトいちご」。その名の通り、見た目も、中も白いのだ。遠藤さんが育てたホワイトいちご「初恋のかおり」は、関東の百貨店などで販売されており、見た目の驚きに加えて、しっかりした味と甘みが人気を博している。
「ほんと不思議。白いから早熟かと思うと、甘いし味がある。作り方がちがうのですか?」と中田。 「大きく育て方が違うということはありませんが、ホワイトいちごのほうが、とちおとめよりも少し繊細で、意外と大食いですね。」 色は白くても、とちおとめと栄養分も変わらないのだというから不思議ないちごだ。もし、ホワイトいちごを見かけたら、一度味わってみてはいかがだろう。 美味しいとちおとめやホワイトいちごを育て、最終的にはお客さんの笑顔をつくりたいと話す遠藤さん。日当りにも恵まれた茨城の地でのびのびと育ったいちごを毎年楽しみにしている人が大勢いるのだ。