豊川稲荷と呼ばれるお寺。
普通、「○○稲荷」といえば、狐を祀った神社を思い浮かべるだろう。しかし、豊川稲荷は、正式には妙厳寺(みょうごんじ)という名のお寺である。 ではなぜ、豊川稲荷と呼ばれるようになったのか? それは、豊川稲荷の祀っている福徳神 「だ枳尼真天(だきにしんてん ※「だ」は口へんに託のつくり)」が、稲穂を担いでおられることから。
東海義易禅師と平八郎稲荷の言い伝え
そもそも、豊川稲荷と狐に深い関係があるのは、開祖の東海義易(ぎえき)禅師のもとにやってきたひとりの老翁による。 平八郎と名乗るその老翁は、義易のもとで小間使いのような仕事をしていた。あるときは飯を炊き、あるときは茶を淹れ、とてもひとりの老人ができるはずのない仕事をこなしていたという。それを不思議に思った禅師が聞くと、平八郎は「自分には三百一の眷属(けんぞく)がいる」と語ったのだそうだ。その眷属こそが、狐だったのだ。この老翁は平八郎稲荷と称えられ、現在でも豊川稲荷では大祭のときに供養を行っている。 豊川稲荷にある霊狐塚にはたくさんの狐の石像がある。その数、千体以上…。まさに圧巻。ここ、豊川稲荷は、正真正銘、お稲荷さまのいる「寺」なのだ。
豊川稲荷で楽しむグルメ
豊川稲荷の表参道沿には沢山の飲食店が軒を連ね、お参りに訪れる人々の別の楽しみも満たしてくれる。名物のいなり寿司やちくわなど食べ歩きに最適なものがずらり並ぶ。「いなり寿司」は米の豊作を祝うために、油揚げの中にお米を詰めて米俵に見立て、お稲荷さんに備えたのが始まりだという説も。お稲荷様のおひざ元だけに欠かせないグルメの1つになっている。