世界の銘醸と肩を並べるワインを目指す「マンズワイン小諸ワイナリー」

世界の銘醸と肩を並べるワインを目指す「マンズワイン小諸ワイナリー」

長野県東部、小諸市にある「マンズワイン小諸ワイナリー」。広大な敷地に社屋、ぶどう畑、醸造所、ショップ、そして約3千坪の日本庭園を構える、長野県内でも随一の広大な敷地面積を誇るワイナリーだ。

1962年に山梨県勝沼でスタートした「マンズワイン」が、次のワイナリーの候補地として選んだのが小諸市。降水量が少なく、日照時間が長いうえに水はけが良い土壌はワイン造りに適し、近年では、この一帯を含めた千曲川流域を“千曲川ワインバレー”と呼び、高品質な日本ワインの一大産地として注目されている。

マンズワインはここがワインバレーと呼ばれ、多くのワイン愛好家から高い評価を受ける遥か昔、1973年に既にこの土地のポテンシャルに目を付け、同社にとって二つ目となるワイナリーを建設していた。

このマンズワインが醤油メーカー大手のキッコーマンのワイン部門としてはじまったブランドというのは意外と知られていない。マンズの“マン”はキッコーマンの“マン”である。加えて、聖書に記されていた天から授かった食物とされるラテン語の“manna”にも因んでいる。


まだ日本産のワインがヨーロッパ諸国をはじめとしたワイン先進国に遠く及ばなかった時代、「醸造を生業にしている会社なのだから、日本ワインの発展に尽力すべきだ」という社員の声から誕生したのがマンズワインだ。


醤油メーカーとして日本中の食卓に“いつでも安定したおいしさ”を届けてきたからこそ、世界の銘醸ワインと肩を並べられるような安定して質の高いワインが造れる環境づくりを目指したいと1981年には、以前から栽培を行っていた長野県発祥の白ワイン用の土着品種である「善光寺ぶどう(龍眼)」に加え、シャルドネの植樹を開始した。


しかし、土地勘の少ない場所に、栽培経験がほとんどない品種。最初は試行錯誤の繰り返しだったという。垣根全体に巻き上げ可能なビニールシートを掛け、雨からぶどうを守って完熟したぶどうを収穫できる画期的な栽培法を考案し1987年には、マンズ・レインカット垣根栽培方式として特許を出願した。翌1988年の収穫直前に季節外れの大雪が降り、善光寺(龍眼)のほとんどの棚が倒壊してしまうという被害を受けたが、この時にもレインカットの垣根栽培は被害を免れた。これが転機となって垣根栽培と欧州系品種への転換が進み、後の「ソラリス」シリーズへの大きな足掛かりとなる。

こうして、長い年月をかけ、その土地ならではの土壌を活かした栽培法や剪定を確立してきたマンズワイン。この地域の冬の寒さにおけるハンディキャップを指摘する声もあったが、素晴らしいワインを生み出す産地として知られるフランスのボルドーも実は多雨な地域であり、ぶどう栽培に適していると言えないのは同じなのだ。


それでも地域にマッチする品種を見つけ出し挑戦し続けるからこそ、素晴らしい品質のワインにたどり着けると信じ、ひたむきに小諸ならではのワイン造りと向き合ってきた。そんなワイナリーの歴史とともに成長してきた自社農園のシャルドネの樹は、現在、千曲川ワインバレー上流域の欧州系品種としては最古の樹齢を誇り、そのポテンシャルを十分に感じられる奥行きのある複雑な味わいを醸し多くの愛好家を唸らせる。

2001年には、国産プレミアムワイン「ソラリス」シリーズが誕生。マンズワインの象徴とも言える太陽を象ったロゴマークから名付けられた渾身のワインは、これまで同社が重ねてきた歴史の粋を集めたフラッグシップとして、権威あるワインコンクールでの入賞や国内航空会社のファーストクラスに採用されるなど、世界中から期待以上の高い評価を得ている。


また同時に個性のあるワイン造りにもチャレンジしてきた。善光寺龍眼とシャルドネを自社交配させて生まれた「浅間」とメルローをかけ合わせたオリジナル品種「浅間メルロー」を開発。その特徴は果粒は小さく、あざやかな色合いで、しっかりした酸味、程よい渋みが食事にも合わせやすい。マンズワインはこの半世紀で毎日の食事のパートナーとして浸透。日本ワインの発展を支えてきた。いよいよ日本を代表するワインメーカーと言っても過言ではない地位を確立している。


こうして小諸市の立地を存分に生かしながら、世界の銘醸ワインと肩を並べる品質で「日本のぶどうによる日本のワイン造り」を目指す、マンズワイン。母体であるキッコーマンの醤油が世界中で使われているように、マンズワインもまた、日本を代表する世界中から愛される「日本のワイン」造りに邁進している。

ACCESS

マンズワイン小諸ワイナリー
長野県小諸市諸375
TEL 0267-22-6341
URL https://mannswines.com/winery/#winery-komoro