安心安全な「にこまる」ブランド米
高知の米と聞いても、あまりピンとこないかもしれない。だが、仁井田町でつくられる「にこまる」は、これまで米・食味分析鑑定コンクールやモンドセレクションなど数々のコンテストで賞を受賞してきたブランド米だ。
「にこまるは、もともと長崎で生まれた暑さに強い品種です。仁井田町では、さらにこの米をおいしくする研究を重ね、63軒の米農家が有機質肥料だけを使ってこの米を栽培。精米にもとことんこだわって出荷しています。関東ではあまり馴染みがないかもしれませんが、西日本ではかなり人気があり、地元の店でも高値で取引されているんです」(宮内商店・片岡源蔵社長)
仁井田町は土佐藩の時代から米どころとして知られてきた。米がおいしくなる理由は、高地にあるため夏場から収穫前の時期に日中と夜間の寒暖差が10度以上と大きいことと、四万十川の清流のおかげだとか。宮内商店が提携する契約農家では「安心・安全な米づくり」にもこだわっている。田植えの前に苗を育成するが、このときに種を消毒することが重要で、これを怠ってしまうと種子が病気になってしまい大きな被害が出やすくなってしまう。そのため、種を消毒することが一般的なのだが、宮内商店が契約している農家では、この消毒に農薬を使うのではなく、籾を60℃の温湯に10分間つける「種籾温湯消毒」という方法を取り入れた、環境に配慮した米づくりを行っている。ほかにも様々な工夫と研究を繰り返し、全国の産地がお米の味を競う「米・食味分析鑑定コンクール」で15年連続受賞したほか、平成28年、令和元年、令和2年には魚沼産コシヒカリと肩を並べる「特A」ランクのお米に認定された。
お米でつくったスイーツ
用意していただいた炊きたてのご飯を食べると、たしかにもちもちとしていて食味がいい。高地名産のカツオのたたきなどといっしょに食べれば、どんどん箸が進みそうだ。「スイーツも作っているんですね」
米も好きだが、スイーツにも目がない中田英寿が目をとめたのは、仁井田米のカステラ。宮内商店では、仁井田米の米粉をつかったカステラやバームクーヘン、ロールケーキなどを販売。しっとりもちもちの食感で、こちらも土産物として人気があるのだという。「2006年から米粉の菓子を作るようになったんですが、最近はグルテンフリーを求める方が多く、おかげさまで人気があがっています」
こだわりの米でつくったこだわりのスイーツがおいしくないわけがない。「にこまる」は、おいしくて笑顔になるというのがネーミングの理由だとか。仁井田町で育った「にこまる」は、さまざまなカタチでたくさんの笑顔を生み出しているのだ。