料理に合う酒を最適な温度で「神亀酒造」/埼玉県蓮田市

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蔵人の酒造り「麹造り」

神亀酒造(しんかめしゅぞう)は年間約1000石を作る埼玉の老舗酒造だ。中田が伺ったのはちょうど酒米を蒸かす作業の真っ最中。朝午前3時半から9人がかりで行っている。
続いて「麹造り」の作業を見学させていただいた。蒸した米は麹室に運ばれ、蔵人が床(とこ)と呼ばれる台の上に均等に広げていく、そして、そのうえから粉のように見える種菌を振りかけるのだ。ひととおり種菌を振り掛け、蒸し米を混ぜ、広げ、もう一度種菌が振りかけられる。菌の付着の具合を虫眼鏡で確認し、蒸米の温度にも常に注目する。
麹室の中は菌と蒸し米を一番良い状態に保つため高温多湿に設定されているが、この暑さのなか、蔵人の動きには張り詰めた雰囲気が漂う。神亀酒造はすべての商品を、醸造アルコール添加をしない純米酒造りにこだわっていることでも有名だ。手作業の酒造りをいかに大事にしているのか、この真剣な空気が物語っていた。

料理に合う酒の温度

低温熟成と一言でいっても、純米吟醸以上はなんと-10℃という温度で熟成させる神亀酒造。これには中田も驚いた様子だ。熟成期間は1年から数年。この熟成を経て、酒にはふくらみが生まれるという。また、自社の酒は、冷酒より燗酒で飲むことを薦めており、この飲み方がファンの間でも人気なのだ。
低温熟成で一度眠った酒が、燗にすることで本来の姿に“目覚める”といったふうだろうか。

この日も「神亀」を熱燗で頂いた中田。「味がしっかりしていて美味いです」
それを聞いた小川原専務はこう話す。「やっぱり、料理に合わせて飲むことを考えるとしっかり味がないといけないですね。あとね、お酒を飲む人がもっとこういう料理と合わせて飲みたいと想像できるようになれば、日本酒の需要は増えると思います。」

料理と合う酒、その酒の温度にもこだわる専務ならではのお話を伺った。
「娘の結婚式でね、料理に合わせて、酒とその温度を細かく指定したの。それをホテルもきっちり守ってくれてね。いや、あの日はすごい飲んだ。(笑)」
料理との相性だけでなく、心地よいと感じる温度は酒の印象を大きく変えるのだ。

ACCESS

神亀酒造株式会社
埼玉県蓮田市馬込3-74
URL http://shinkame.co.jp/
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