農林水産大臣賞第1位に輝いた櫻井農園
住宅街を通る細道を入っていくと、突然パッと畑が広がり、その片隅に「櫻井農園」の直売所があった。
2007年「千葉なし味自慢コンテスト」で、八千代市初の快挙となる農林水産大臣賞(第1位)を受賞した櫻井農園。
隠れ家的な場所にあるこの直売所には、その評判を聞いて、口コミでお客さんが集まってくる。
櫻井農園の櫻井正浩さんにお話を伺った。
「うまい梨というのは、ただ単に糖度が高いだけではダメですよね? 何が大切なんですか?」
「糖度もひとつ重要なポイントですが、あとは収穫のタイミングです。やっぱり熟して収穫しないと。今は青採りして、スーパーに3日遅れぐらいで出るような仕組みになっていて、それでも色は付くけれど、どうしても美味しくないんですよ。だから、最近は直売が主流になっています」
木の上で完熟させて、箱に詰めて、翌日には届いた梨が美味しく食べられるというのがベストなタイミングなのだそう。
「どのような実の色で収穫するか、というのが大切なんですよ」
大切にするのは、タイミング
旬を大切にする櫻井さんは、「朝採り」にこだわっている。
「正午を過ぎてしまうと、真上から太陽がカンカン照りになってしまうので、梨の色が上がってしまうんですね。ですから、朝6時からお昼ぐらいまでの時間帯で収穫するようにしています」
「採る時間帯というのがあるんですね」
「“タイミング”というのが大きなウエイトを占めてまして、収穫するタイミング、肥料をやるタイミング、すべてタイミングが大切なんです」
梨の木にも、美味しい実が採れるタイミングがあるそうだ。
「木自体は100年でも200年でも生きられますが、働き盛りというのがありまして、25~30年をピークに少しずつ下降してくるんです。それを過ぎると、実が大きくならなかったり、色つやが悪くなったり、木に元気がなくなってきます」
櫻井農園の梨の木は、先代のお父さんの代に植えた木が多く、ちょうど30年を迎えるところなので、25年目ごろから少しずつ入れ替えの作業を始めているという。
品種は同じでも農園ごとで変わる”味”
今回、千葉の梨農家さんをいくつか回ったが、驚いたことに同じ品種の梨であっても、ひとつとして同じ味がない。
酸味や甘み、歯ごたえ、香り……。同じ幸水でも、農園ごとに味がまったく違う。
櫻井農園の梨は、歯ざわりがやわらかく、甘みが強いのが特徴。
櫻井さん曰く、農家によっても違えば、産地によっても味は全然違うそうだ。
千葉県は梨の一大産地。
いくつかの農園で食べ比べをしてみて、自分のお気に入りの農園を見つけてみるのもおすすめだ。