遠くとも一度は詣れ善光寺。
「遠くとも一度は詣れ善光寺」遠いところに住んでいる人でも、一生のうちに1度でもいいからお参りしたほうがいい――こんな歌がうたわれるほど、庶民から厚く崇拝されていた善光寺。門前町には賑やかにお店が並び、散策するにももってこいの観光スポットだ。
善光寺の創建は、642年とされている。これは開山の祖である本田善光がご本尊を現在地に祀った年。また、644年には天皇の勅願により伽藍が造営された。
じつは善光寺の本尊である「一光三尊阿弥陀如来像」は、これよりさかのぼること約100年の552年に、百済から日本へ伝えられたのだという。この阿弥陀如来像は、日本最古の仏像として知られているが、その姿は654年以来、秘仏とされ、人の目に触れることはない。現在でも住職ですら、見ることを許されていないという神秘のべールに包まれた仏像である。
ご本尊の体内を廻る「お戒壇巡り」
中田は本堂のなかで「お戒壇巡り」を体験する。「お戒壇巡り」は、本尊が安置されている「瑠璃壇」の床下にある回廊に入り、真っ暗な中を歩いて中ほどにある「極楽の錠前」に触れるもので、ご本尊の体内を廻ることで生まれ変わるための修行と認識されてきたのだという。
善光寺は、7年に1度おこなわれる「ご開帳」が有名だ。開帳の年を1年目と数えるので、実際には6年に1度おこなわれることになるのだが、その年には数百万人という人が善光寺を訪れる。2009年には、全国にある6つの善光寺で同時開帳がおこなわれ、そのときの参詣者は650万人を超えたそうだ。
最初に書いた「遠くとも…」には、続きがある。「救け給もうぞ弥陀の誓願」日本に渡ってきてから1450年もの時を経た阿弥陀如来であるが、現代までも多くの人が訪れているのだ。
長野を訪れた際には、ぜひ小布施町の岩松院で葛飾北斎の傑作「八方睨み鳳凰図」に立ち寄ってみるのもおすすめだ。