全国でも有名な小松弥助
「東の次郎、西の弥助」と称された金沢鮨の名店「小松弥助」。2015年11月に惜しまれつつ閉店となったが、その前に中田はこの店を訪れた。寿司職人の森田一夫さんは、御年83歳。15歳の時にこの道に入り、以来68年もの間、寿司一筋に営んできた。「小松弥助」は銀座久兵衛の先代をして「日本一の鮨を握る職人」といわしめ、全国でも有名な鮨屋の一つ。森田さんの寿司を食べに、全国から多くの人がこの店を訪れている。
美しく、美味しい小松弥助の寿司を頂く
はじめに出されたのは透き通るようなイカの握り。どうやってイカの水分をとばすのか聞くと、「イカは水気が一番嫌いな魚介類だから、手早く布巾で水分を拭き取る」と教えてくれた。 “雪紅葉”という粋な名がつけられた蟹の軍艦巻きは、常連客の間で冬の季語としても使われる人気の一品だ。20数年前に顧客に名をつけてもらったという。魚介を引き立てるシャリは、岐阜の郡上八幡の米。一粒一粒につやがあり、森田さん曰く「とにかく水がよい土地。そのうえ寒暖差のある気候で、米がきゅっとしまっている」という。
寿司職人は常に進歩し続けること
格別のお寿司の美味しさに、「この店を訪れるために、はるばる遠方から来る人が多いのも頷ける」と中田。「寿司は伝統、伝承と言われるが、それを基本に常に進歩していなかいといけない」と森田さんはいう。森田さん自身も休みの日には他店で食事をすることが多い。外食の7割はやはり寿司だそうだ。「全国を食べ歩き、若い職人の感性から刺激を受ける。それが自分の寿司の進歩につながる」と話してくれた。