80年以上の歴史。天然秋田杉使用「秋田杉桶樽」有限会社日樽 /秋田県大館市

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天然秋田杉を使った桶・樽

秋田で有名な工芸品といえば曲げわっぱ。今回の旅でもその体験工房に伺って話を聞いた。1980年に国の伝統工芸品指定を受けた曲げわっぱだが、その4年後、1984年に伝統工芸品指定を受けたものがある。それが秋田杉桶・樽だ。今回は1930年に創業し、80年以上も秋田杉樽桶を作り続けている会社、日樽へ伺ってお話を聞いた。
おじゃましたときは、酒樽作りの最盛期。工房では職人さんたちが忙しそうに木と向かい合っていた。お話を聞いたのは日樽の代表者である伝統工芸士の日景義雄さん(72歳)。1980年に脱サラし、家業であった桶樽の世界に入り、以降30年以上秋田杉樽を作り続けている職人さんだ。

秋田杉を使った生活に密着した工芸

同じ秋田杉を使った曲げわっぱもそうだが、その歴史は古い。記録としては1612年に書かれた、秋田藩家老「梅津政景日記」に、旧雄勝町の酒屋で桶が使用されていたというものが残っている。実際に秋田城遺跡から15世紀から16世紀のものとみられる桶や樽の底板などが見つかっている。
しかしその起源となるとずっとさかのぼることになる。同じ秋田城跡からから、平安後期のものと推定される桶が発見されているのだ。ということはつまり今から1000年ほど前ということだ。

秋田杉樽の特徴

秋田杉樽の特徴は大きく三つ。まずはその見た目。細かな木目の美しさに目を奪われる。次に香り。主張しすぎない、「しんとした」心地いい香りが漂ってくる。そして最後に、水分、塩分調節にすぐれているというところ。1000年の歴史があるということは、それだけ人間の生活に密着したものだったということだろう。生活に密着するということは、使い勝手がいいということでもある。秋田杉樽の三つの特徴が、1000年という歴史を育んだのかもしれない。

樽と桶の違い

中田がシンプルな質問を。
「桶と樽の違いって何ですか?」
たしかに、よくわからないというのが正直なところだろう。桶は短冊状の木の板を並べて竹で締めて底板をつけたもの。樽はそれに蓋がついたものというのが正解。
そんな話を聞いているうちに見つけたのが「麹蓋」。全国の酒蔵を見て回っている中田には、見慣れた「蓋」だ。こちらではその麹蓋の製造も行っている。以前訪問した酒蔵の杜氏さんから「秋田杉の麹蓋が最高級品」と聞いたが、これがまさにそれだ。全国を旅して回ると、いろいろなところでいろいろなものがつながっていく。そういう「モノ」がここにあった。

樽や桶だけでなく、生活の器も

日樽では、酒樽部門として、伝統の秋田杉樽を作り、全国の酒屋さんに納める杉樽をつくるほか、工芸品部門として生活の器を作っているところもある。おひつや湯桶はもちろん、カップやアイスペール、ワインクーラーまで作っている。木のワインクーラーというのはイメージになかったが、食卓に乗った姿を想像するとすごく素敵に映える。やはり木の暖かさがそう思わせるのだろう。食卓にワンポイント、天然杉の暖かさを置くのもいいかもしれない。

ACCESS

有限会社日樽
〒017-0012 秋田県大館市釈迦内字土肥17-3
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