自然の力に勝るものはない
「土に天然有機肥料を多く使って、土の力で育つ米が一番おいしいんじゃないかって考えてますね」
そう話してくれたのは、新潟県南魚沼市で農業を営む笠原農園の笠原勝彦さん。実際に自然の力を目の前にして、そう思ったという。
「2年土を休ませると、肥料などの手を加えなくてもおいしい米ができるんですよ。正直言ってびっくりしました。畑のほうが連作障害っていうのは強いとは思うんですけど、田んぼもあるんです」
広い田んぼを持つ笠原農園。それを見渡しながら、中田は「やっぱり自然の力なんですね。あそこに見える山からきれいな水が来て、土地柄から寒暖差もある。そして笠原さんが土に気を遣う」と言った。
すると笠原さんは「それでもね、あっちの田んぼよりこっちの田んぼの米のほうがおいしいっていうのがどうしても出てきてしまうんですね。研究の日々ですよ」と笑っていた。
金の稲穂から“ご飯”へ
取材当日はちょうど収穫の時期。中田も頭にタオルを巻いて、お手伝いを。この後においしいお米が待っているのだから仕方がない。働かざるもの食うべからず。ご指導のもとバインダーを操作して稲を収穫。そして刈った稲を稲干し用の稲架(はざ)に掛けて行く。稲架に干して自然乾燥させることで、実の一粒一粒に美味しさが閉じ込められるのだ。
「これ、まだ緑の部分が残ってますけど、いいんですか?」中田が稲の籾の色を見てそう言った。
「このタイミングがちょうどおいしいんです。ちょっとだけ緑が残ってる、このタイミングが」
丁寧に育てて、一番おいしいタイミングで収穫する。普段、精米されたお米を見ている私たち消費者にはわからない細かな部分で、生産者の方のこの気遣いがあるからこそ、おいしいご飯が食べられるのだとしみじみと思わされる。
働いた後のご飯。至福のとき。。。
そしてお待ちかねのご飯。お釜から立ち上る湯気。お茶わんによそって、そのままパクリ。
「僕が好きなのは、お米が口のなかで広がる感じ。そして最後にぐっとお米の味が広がるっていうご飯。これはまさにそれです」
けんちん汁とお漬物も一緒にいただき、至福のひととき。
スタッフ一同がおのおのに感動を表現するなか、笠原さんは「昨日の予行演習のときのほうがおいしく炊けたんだけどなあ」と頭をかいていた。