味噌にも個性がある「味噌星六」/新潟県長岡市

目次

熟成度合いで変わる「滑らかさ」

「利き酒ならいいけど、利き味噌だとしょっぱいだけかな」
そう笑いながら、中田の目の前にずらりと味噌を並べてくれたのは、味噌星六店主の星野正夫さん。米味噌、麦味噌、豆麹を使った味噌。しかも1年熟成、2年熟成、3年熟成と、たくさんの味噌を並べてくれた。

中田は端からすべて試食。「やっぱりそれぞれ違いますね。年がたつと滑らかになるのかな。これが一番好き」中田が好きだといったのは、「こだわり味噌」という米麹と豆麹を使った味噌の二年もの。

星野さんは「うれしいな、こだわりっていう名前もあるとおり、その味噌にはこだわりがあるんですよ」と本当にうれしそうに話してくれた。「昔、大先輩が『これが昔から伝わる味噌の原型かもしれないよ』といって食べさせてもらったのが、豆麹を使った味噌だったんです」「こだわり味噌」ができた遠いきっかけはそこにあるという。

大豆の味を残すために、試行錯誤のうえ大豆を煮ないで蒸した。そして、伊豆大島の「海の精」という塩を使っている逸品だ。

「これだから星六だ」という個性

中田が「滑らか」と表現した2年熟成の味噌だが、やはり熟成によって味が変わるという。星野さんは、やさしそうな顔をしてこんなふうに説明してくれた。
「1年ものは人間で言ったら10代。わが道を行くっていう感じですね。甘さもしょっぱさもまだ強い。2年ものは人との調和を考えなきゃいけない、30代ぐらいかな。彼女とか家庭もできてね。3年ものは50代。自分の人生もよかったかなと振り返る」
3年ものになると、「クセのある香り」がするという。
「でもこの3年ものの根強いファンもいるんですよね。ちょっとクセのある香りがするんですけど、これがあるから星六味噌なんだといってくれる。でも逆にこれが苦手な人もいる。面白いですよね」

独特の香りを持つ麦味噌

もちろん、原料でも味や香りに違いは出てくる。最後に麦味噌とこだわり味噌、2種類のお味噌汁をいただいたときに、中田は麦味噌の独特な香りに驚いていた。
「こだわり味噌は慣れ親しんだ香り。麦味噌はこれまであまりいただいたことない感じですね」
「これも好みですね。この麦の香りが好きって言ってくれる人もたくさんいるんです」

そのほか星六では「極」という名の10年熟成の味噌も販売している。そして、これは人生を極めた97歳のお母様と重なるお味噌だと話してくださった。
星野さんが手塩に掛けて育てた味噌には様々な個性があるのだ。

ACCESS

有限会社星六
新潟県長岡市摂田屋4-5-11
URL http://www.hoshi6.com/
  • URLをコピーしました!
目次