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微生物が住む土づくり
作物は土壌で育つ。ふだん地面に隠れてはいるが、作物の地上部を支え、養分を供給するのは根っこ部分。そう、作物が健康に育つためには、根が活動しやすい土づくりが肝要なのだ。
そうした考えのもと、土づくりにとことんこだわっているのが、ここ田中農場。化学肥料は一切使わず、近隣の牧場と協力して完熟堆肥をつくり、適正な量を使用する。そうすると、微生物がたくさん住みついた、根っこが養分を吸収しやすい土壌ができるのだ。
自然の一部としての農業
その考えの基本になるのは、「作物が“自然に”育つ環境をいかにつくるか」ということ。増収のために肥料をたくさん与え、そのために作物が病気になれば、今度は農薬を使用する。農薬を使えば、当然、微生物の住み心地も悪くなり、土壌はやせ、肥料がたくさん必要になって…。目先の利益にとらわれた現代農業は、こうした悪循環のくり返しだ。
とは言っても、田中農場は農薬を頭から否定しているわけではない。必要な状況が生じたら、農薬の使用も検討するとのこと。
土のエネルギーを引き出す
要は、いかに作物と土壌に負担をかけずに栽培できるか、ということだ。たとえ、畑や田んぼで農薬を使わなくても、流れ込む用水路の水はどこまでキレイだろうか。大気が汚染されていれば、雨水となって降りそそぐのではないか。でも人間だって、病気にかかれば自然治癒力を発揮する。それは土も同じ。強い土壌には自らを浄化するエネルギーが備わっている。田中農場の試みは、こうした土のエネルギーを引き出すことなのだ。